翻刻
又輪嶋崎は海士町の未少し放れて有家数五拾
軒余あり寔に此浦の崎にて船の間ありて高の
山に夏中燈明堂有船問屋沖の崎刀祢あうふつ
屋抔とて有之夏中数百艘の船不絶繁昌なり
氏神天満宮なり神主は湊氏なり此宮に日本初て
鋳造所の明鏡あり祭礼毎歳九月九日也一説は御
神躰少彦命のよし又聖光寺とて禅宗あり
此寺始は七堂伽藍の大寺にて天台宗なりしといへり
今に境内広し宝物多し仏舎利有是は和州竜
田法《見せ消ち:薩|隆》寺と此寺に斗伝るよし其外釈迦如来金
像衣の切れあり其外略す又此尾崎に岩井堂とて
秀景の所に夷(イヒス)の社あり又町家の後にむかし此所に
《見せ消ち:位|信》田小太郎と言人のさまよひ来りて刀祢といふ
者の方に仕へありしとて其時の腰懸石とて埒
《見せ消ち:詰|結》廻り有わきによき清水有
案るに信多の三郎事にや夫は六条ノ判
官為義の三男にして父に与力し朝
敵となり方々浪流有て後に元暦年