翻刻
粧ひ並ひて田を植るをみれは
甲乙也■わか笠は黒からん
又輪嶋より惣領へ行本道に礒伝ひ七町斗塚田村
領往来に長拾壱間の橋あり源は当目山ゟ流るゝ
なり又礒辺に哥波の地蔵とて有泰澄大師
の作厄神除の本尊にて利益あり
又輪嶋ゟ拾町に稲舟村とてあり往来ゟ山手に
あるなり此村に藤太とて十村役あり笠原氏なり
先祖は由緒ありて数先年の百姓也昔は輪
嶋にありてある時旱魃にて多く田畑われ入け
るに其比のあるし是をなけき何卒此田へ水あて
くれる者に独の娘を得させんぬと誓ひせしに弐夜
壱人の若き男来て一夜の内に田毎に水をあて
けり其後娘を連行かぬといへとも主ゆるさす其
者は此輪嶋川の渕に住める蛇身にて或夜其家
を七巻まとひすてに戸口の潜りゟ入らぬとせ