翻刻
たまひ山伏姿と成船中にて難儀をすくひ
此国へ伴ひ来り給ひて此山に神隠れ給ふより
山伏山といへり又聞義経の御内常陸坊海尊此
所にて義経に別れて仙人となり此山に
住みて山伏姿にて折〳〵見ゆる故に山伏
山といふも有又三崎権現大社の時衆徒多く
此山の腰にありけるより山伏山といふともあり
又渡海より山伏の頭中のよふに見ゆるゆへに
いふともあり区々なり大谷の助友の由来にて
阿新丸の事実説にや往古は狼煙とも鈴ヶ
嶽ともいへり誠に神の御山にて枯木茂り
一枝も樵ることならす
山伏の螺吹岑の夕くれに
そこともしらぬすゝの止風
又此山の麓に問崎宿崎金剛崎とて風景の
崎三ッ有よつて三崎の名あるよし又海中
ゟ越後の崎佐渡の崎能登の崎鼎(カナヘ)の足の
如く見ゆるゆへ三崎といふ説もありされとも