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コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 26

ページ: 26

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 又或家に八十有余の病婦有其子か背負て比島山の寺に  遁れしに道筋の動揺につかれて其夜空敷成ぬ大宅を  出て精舎にて往生を遂しか是等変中の大幸ならん歟 〇新町にて小緑の者病死して十一月五日潮江山に送葬  るに広岡町にて大変にあひ舁行者棺を投捨面々  ちり〳〵逃行けれは親族共も心元なく成て是非なく枢を  其侭にして帰りしとそ其夜は火事と成たれは翌朝家  内共人雇して互に尋ねけるに棺も蒸なかりけれは再舁  せて入山せしと也一説には南川原に舁出し置たりとも云さも有  へし尤川原は其夜高潮入来りしにも実事なかりしにや又  弘岡町も朝倉町半分より東北輪は類焼しつれは是又危き事  なりしに返々も水火の害を遁れしは此上の幸甚ならすやと  街談まち〳〵也し 〇大震の日は相撲ありて諸人其場に群集す播磨屋丁辺の者  行人とするに男児有ものにて侭に行人と云凡角力場に小児を連  事若き者ともは嫌ふ習にていろ〳〵すかし機嫌取に子供  翫物の茜深の緞子を買ふてやり是にて漸と納得させおのれ一  人は酒肴を携へ得たりとて震後帰りて見れは家は潰れ火も  懸りぬ翌朝埋みし土を仕除て見れは我か子は裸にてきのふの  緞子を結ひ死たるを掘出しぬ余に家内の者も有つらんに