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コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 28

ページ: 28

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○市中に後家暮しの女有縫物の上手にて女児を集め指南す  震の日も十人斗会したるに其家潰裏口へ逃出師匠もちり〳〵に  成ぬ扨四方より家蔵潰れ懸り来れともいつれも少女の事にて  棟伝ひ逃る事もしらす十方を失ひ泣々さまよふ中大事と  成り煙にむせひ焼死たるも多しとかや火後親兄弟とも尋  来り死骸を改むるといへとも十二三歳斗の小娘のしかも頭髪も  焼て分明ならされハ詮議も片付すされハとて仕方もなけれハ屍へ  一番二番と番付をして鬮取にして家々へ引取しとなり  勿論人の子もあらんを家の子とおもひ定メ追善供養するこそ  不便なれいかなる前世の宿業にやと或者語りし ○不意死したる亡者ハ棺屋残らす焼失したれハ蒲団に  押巻て葬埋せしとそ其旨檀那寺へ告引導頼ミし事歟  一僕連たる僧か山中の新墓に読経して廻りの(居)たりしを  山中に止宿したる者とも見たりとて語りし又ハ慈悲僧  ありて新墳を供養して廻りし事歟いつれ殊勝の事也   再云方丈記に養和の頃かとよ二年か間飢餓して浅   ましき事侍りき仁和寺に隆暁法印といふ人かくしつゝ   数しらす死る事を悲しミて聖りを数多かたらひて   其死首の見ゆることに阿字を書て縁を結ハしむる   業をなんせられける其数をしらんとて四五両月か程