みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 32

ページ: 32

翻刻

 たりしと云其侭物におさめて始末せしと也凡十ヶ月も土中に  埋れて自然朽滅せさらんはいふかしき事也金子ハ全かりしと云  多分此冨家を見込此金蔵へ預んとての含成つらんをいかにも  不便也し事也と聞しまゝ記せしか比日聞は左にあらす八月の  始金蔵二ヶ所の焼土を亭主も立会とふしと云物にて通し  金銀の焼埃まて選出せしに骸骨一ッ出たりとそ人々驚ける  場合又々 烟管(キセル)の皿吸口共出たるに是平常右の反物屋か所持の  物なれは彼者に極り家内に告白骨を始末させし也是定説  なりとそさもあるへし予も相識の者にて殊更哀也し 〇菜園場竪町に鉄物屋有川岸に添ひて土蔵数ヶ所建つゞけ  たりしか大震にゆり潰され金銀も川へ落入しに潮は日々高けれは  取あけん事かたく潮江の漁師二人をやとひ 牡蠣(カキ)を取あくる熊  手にて舟より水中を探り財宝あまた取上しに小判九百  両入の箱流失にや紛失したりしか今年十月の始右漁師か  妻判金六両携へ両替屋にて壱歩と二朱と銭とに交易  せしより不審起り夫某を御召捕に成糾明有しに右箱水  底に沈有しを見付置夜冷舟にて二人盗取金をは配分  せし由つはくに白状に及ひ入牢被仰付たりと聞たり昔も  長曽我部盛親大坂敗北の後伏見に隠れ渇命におよひ  黄金もて飯米を求めしより露見し洛中を牽わたされ