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コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 34

ページ: 34

翻刻

   蓮台寺天暦十年二月頃陶鋳鐘矣    と有蓮台寺は土佐郡に蓮台村有此村にありし寺にて    退転せしにや又は他邦の古鐘にや不詳去年に至八百    余年の古器なるに敗物と成ぬらん是亦をしむへし ○新町に山本屋伝助とて孝心奇特よろす正直正路の小売人  有大震の時は他出したりしか直様馳帰りぬるに居宅はふるき  土蔵成しかは潰れ家と成ぬ扨おもふ様母は中風にて手足叶はす  幼年者も数々あれは妻か手一ッにて連出し事は覚束なし  必此の下に埋ぬらんと大音をあけて呼けれは案のことく下にて答ふ  嬉しくおもひ掘て見れは老幼妻とも〳〵梁や棟木や柱や    組建ひたる下蔵に一同物語して自若たり土木を拂ひ連出  しけるに露計の怪我もせす又此潰れ家類焼もせさるは天な  らん歟凡変に望み異事あれは人にも聞えまち〳〵の説もあらん  を人のしらさるにて孝の徳且は隠徳のむくひならめと某語りぬ ○宝永地震の筆記に人を転す事丸き物を投転すか如しおそ  ろしき事何とも十方有ものなし《割書:南路|志》諸人広場に走り出るに  五人七人手に手を取組といへともうつふしに倒れ三四間の内を  転しあるひはのけに成又うつふしに成て逃走事たやすからず  《割書:万変|記》とあれとも去冬の震に如此事なしされは至て軽かりし  なり予は川原の相撲場莚敷に居たれは何の愁もなかりし