翻刻
西へ両輪焼通りしに桜屋と云者有他邦者をも雇いれて白
砂糖製法する事を業とすさるによりて大震に焚火たゆる
隙なけれは防火の守護神に秋葉山の木札を薄き箱に納めて
仕成場所の柱に懸置けるか其己家は類焼せしにふしき成哉
右の箱外輪は焦たる儘にておのつから庭木の枝に留りて焼さ
りしとかや本宅にも此同札を勧請せしか彼か方の家蔵にて
焼留り夫ゟ両輪とも恙なかりしと其西隣の某かたりぬ
〇凡市中の神社恙なし第一朝倉町なる伊勢家《割書:益太夫|旅宿》本社《割書:萱|葺》
拝殿《割書:扮|家》なる上其町の北輪は類焼したるに火移りす又右神明
宮松ヶ崎稲荷社《割書:震に絵馬堂は|破損したり》下知村樹下の社も烏有とはならさりし
〇寺院は浦戸町にて真宗寺遍照寺長泉寺廿代にて安養院新町
にて金剛院真流寺類焼す真澄寺は震に潰れたれとも焼さりし
再云享和元年十二月晦日の回禄《割書:細工町俵屋|重平より出火》には新町にて右の
三ケ寺焼たり又元禄十一年十月六日の
回禄《割書:北奉公人町東一丁|古かね屋権衛門より出火》には
左の寺々焼失したる事旧記に見えたり御国初以来の大火
なれは因に加へおとろかし置也
廿代 蓮池町 同 同 同 廿代山田町 細工町
五宝院 ◦安養院 ◦蓮乗院 ◦山泉寺 ◦大善寺 ◦宝持寺 ◦大超
浦戸町 同 同 同 朝倉町 弘岡町
寺 ◦専修寺 ◦真宗寺 ◦遍照寺 ◦長泉寺 ◦金剛院 ◦常円寺
新市町 同 同 材木町 紺屋町 菜園場 新町
真慶寺 ◦西念寺 ◦常福寺 ◦善法寺 ◦真光寺 ◦真龍寺 ◦真
澄寺 以上二十ケ寺焼失