みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 50

ページ: 50

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     口入を求大金をからんとせしに大家とも云末土佐の辰巳屋と      いふ者の名を聞さるとて事なりされは流石の勘丞も空      敷下り口惜かりしを妻か聞て云給わらおもふ子細のあれは      来春は一月斗の暇為り大和廻りしたしといふにて勘丞      もゆるしぬとそ扨長閑に成し頃路用とくと整へ従者      程能連て発足し見物はてゝ大坂に下り市中見物に廻りしに      石工町に右に云手水石の売なくれたる物有を高金に求め      川口に御国船の入津せしを尋ねさせ運漕の事を約させて      扨日々数十人を雇ひて彼大石を川口迄引石といふ事に      させけるに上方のならひ日に増し見物山をなしたりしに      土佐の辰巳屋か妻都廻りして其帰るさに国への土産に数日      しか〳〵の事也其費いか斗ならん此石を庭に居へ人座敷ならは      萬おもひやらるゝとておのつから其石都會に広かり追々            下り船につませおのれはもとのことく帰足して勘丞にいふやう      御土産には石の手水鉢を求め候ひて川口にて船積し置      たりと語る間もあらすして着船して上陸せしかとも門に            入らす仍て塀の上を轆轤にて越させ今の地に居へたりし            とそ其後勘丞にいふ様此度さて大坂に登り給へ大望は           成就すへけれと過日にぞ再のほり口入をもて計らひけれは           思侭に融通能き事になりて次第〳〵に家富の栄へしも