みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 62

ページ: 62

翻刻

隠匿 置看病する中宿元近く火災と成ぬれは足弱の者とも付置  家内共諸道具始末に帰りし跡にて高潮入来り病者も波に  漬りし場合家族ら馳来り辛うして其場の一命は助りしかとも  是より再寒して日ならす空敷なりしと也是等上にもいへるご  とく不覚の第一番とおもはる蒲団に寝なから波にとられしと  云触らせしは癖言也しとかや 〇新町の人のよし家内に湿痺にや蹇となりて平臥す震の  日は主人は他行跡にて嫁なる者姑の足痛を負ひ少女なる者は  兄の病足を背負ひ潰れ家の棟を伝ひ隣家の婦女共々  北の堤に遁れ出山田橋に至りしに群集の中にいと奇特  なる女ありて津波来らは此橋も落申さんいさ比しまへ御供申  さん御老体を右わたくし負申さんといふ故誰人にやと問へ共  しれる者にあらすされとも嫁も労れたれは折幸と其深切に  まかせとも〳〵比島に馳付しに姑を卸すやいなや又見出さんと  るゆへ名前居所をもいろ〳〵と尋ねけれとも名の有者に  あらすといひすてゝ又もとの橋のことく走り行ぬ定めて諸人  を助る志の人物にて有しならんと同道したる女子語りぬと  そ我か家内もあらんをいかなる者そ尋ね糺して公達し度  隠徳者也けりと床しかりし 〇大震の後吸江の渡し舟に乗組種々の雑談を聞し中に