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コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 63

ページ: 63

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一人云扨も浜改田へ津波打入し時漁師か妻我か子を捨 置家の子を背負山に逃け夜を明しけるか翌朝我か子をは 夫か連来り四人とも恙なかりしは天の御助ならんとて評判の よしを語るおのれ打聞まゝに其者に問て云家の子といへは其 妻は継母にや又は家の子は片輪者なとにやと問返しけれは 其委敷事は承らすと云又傍より一人云それはいよ〳〵家の子にて候 私承候は根元兄弟の者別家して子一人つゝ有し後兄嫁離別 せられ間もなく兄も病死して一人の子斗に成たれは弟も我か 家を畳み兄の家に引移り兄の子をとも〳〵世話いたし居候 由なれは家の子とは申にて候と云ゆへいかにも節婦にて 天性の美顕れたりと猶床敷委敷筆記せんとおもひて 其夫か各子らが歳をも連尋ねたりしに六ケ敷哉思ひけん 又は深き思惟や有けん此外に右存知不申下田辺にて聞 しまゝにて候津浪は片山の在所まて打入しなといひ紛 らし追々詞をも改めけれは返す詞もなく互に口をつぐみぬ 事は残りたき事也其後も此美事を詳に記し置まほし くて耳を立けれとも高知るよりは手遠く東行する輩も片 ほとりにて詮方なけれは船中にて聞し侭を記すのみ也き   再云此話に能似たる烈女有しをおもひ出たり近世   畸人伝と云う書に◦栗子は甲斐固【国の誤か】山梨郡の農夫某か