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コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 64

ページ: 64

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   妻也舅姑に孝ありて其名高し然に舅姑夫も亡ぬる    後に山抜といふ事にあひ水におほれ死す其時屍を    掘出して見れは十二になる養子を背に負八つになりける    実の子の手を引て有けり幼方をこそ背には負へきに    長したるを負ひたるは此時に臨人て遁人と構ふるにも    養子を重くするの義をおもふ故成へし女といひ辺鄙    の産也何の学ふ前も有ましきに天性の美め此は世に有    がたきためし成へしさるにおもはさる災にかゝり死を    能せさるは悲しからすあれと此災によりて其徳ます〳〵    あらはるといふへきか国人これかために碑を建て事実を    記せりとなん 〇赤岡御役家詰徳永千規《割書:達|助》か去冬の大変を記したる書に云  須崎浦にてある漁師家内一同小船に打乗りて《ルビ:海嘯|ツナミ》の 難をのかれんとせしか波に引とられ船くつかへりて残らす 沈没す其中に十二歳斗の男子一人浮上りける折ふし大 筒の座板流れ来りけれはそれに取付け沖に出漂ひけるを 夜須浦の漁船に助けられ則夜須浦へ連帰りけるよしあ  人の話のまゝを記すと有    再云漂流者の助りしも其産土神の恩頼あるへし宝永にも    似たる話有左に写入たるを見ておもひ合すへし