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コレクション: STAGE8

地震記 上 - 翻刻

地震記 上 - ページ 70

ページ: 70

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 江州の水工は二年を経て帰国す仍て此井宅地にほらんと思  者は願出れは御町銀御貸付被仰付年賦払に御取立あり  し也さるによりて年々歳々に掘らせ今新町に何百といふ  数をしらす然るに去大震にも潰れす数十日潮は下知切  戸より押入用水難渋の所尾井の水絶る事なくして去今  の飢を忘れたり是馬詰氏の遠慮にて実に功業莫大と  いふへし宝永の変後祖先達の苦心おもひやられし也    再云馬詰氏壮年の頃より  御供にて東海道中を    せくるゝ毎に江州の毎家尾井ある事を尋し当国の土地と    同しきを察せられて久敷宿望ありしか終に御町の    惣宰とあふかれ為ひ功を遂られしと也他邦水工を    はる〳〵御雇入の後尾井堀ても水湧出ずんはいかゝせん    返々も土相の同脉なる事を知為へる事凡人の所為な    らすと世人の感慨甚しかりし事予か十五歳の時    にて現に覚たりし実に永世の宝といふへし   元禄十ニ年御制札写      覚 一此井溝へけからはしき物はいふに及はす何にても入ましき事 一井溝にて物を洗ましき事 一橋の上にて水汲へからす附水あひ手足を洗ましき事