翻刻
【右】
頭髪(あたまのかみ)脱落(ぬけおち)。楊梅瘡(とうがさ)。重(おも)き時は。内障(そこひ)失明(めみえず)。耳聾(つんぼ)。
鼻中濃汁(はなよりしみしるいづ)。鼻梁(はなばしら)崩隕(くづれおち)。痔疾(ちのやまい)漏瘡(しりばす)。嚢癰(きんたまくづれ)。陰莖(いんきやう)
潰触(くづれ)。喉癬(のどくづれ)。脛瘡(すねがさ)。多骨疽(かさよりほねのできものでる◎)失音聲啞(こゑいですこゑかれる)。水腫(ごたいはれる)
歯齦膿潰(はくきうみくさる)。頭痛如破(づつうわれるがごとし)。痿躄(こしぬけ)。吐血(ちをはく)。噎隔(ばきつかえる)の諸症(いろ〳〵のやまひ)と
なり。或は面目(めかほ)腐爛(くづれたゞれ)して。殆(ほとん)ど癩病(うつはい)のごときあり。
鬱氣(うつき)して労咳(ろうがい)に似(に)たるあり。鼓脹中風(こちやうちうき)に類(るい)せる
あり。此外あぐるにいとまあらず。中にも耳聾(つんぼ)
喉癬(のどくさる)の二症は。難治(なんぢ)の中の難治にして。大抵(たいてい)の
【左】
醫は手を下すことあたわざるの症(しやう)なり。偖(さて)
軽症(けいしやう)の時庸醫は。托出(たくしゆつ)の剤(ざい)を用ること過度(くわど)【「ホドニスギル」 左ルビ】するに
より。或は眼目(がんもく)そんじ。或は耳聾(つんぼ)となり。又は毛髪(けかみ)
痜落(ぬけをつ)。すへて薬(くすり)といふ者は。皆(みな)偏性(へんしやう)有毒(うどく)の物ゆへ
其病に應(をう)ぜざれば。かへつて其ほど〳〵の害(かい)をなす。
さればはじめより醫をゑらびて。みだりなる
療治をうけじ。みだりなる賣薬(はいやく)などに迷(まよへ)じと
用心すべし。