翻刻
【右】
○此病に馬肉(ばにく)をくらふものあり。馬肉はもろ〳〵
の夲草に毒(どく)ありとみえたり。いまだ醫書の中(うち)に。
此病の薬(くすり)餌(くひ)に用ることを見ず。ことに馬は武用(ぶよう)に
そなへ民力(みんりよくを)をたすけ国家の用をなすものなれば。
たとひ功験(こうげん)ありとても容易にくらふべきにあらず。
そのうへ馬肉は湿熱(しつねつ)大過(はいくわ)のものにして。ます〳〵
毒氣(どくき)をますものなれば。かならず。くらふまじきなり。
○下疳(げかん)に膏薬(かうやく)油薬(あふらくすり)などみたりに敷(つく)るはよろしからず。
【左】
便毒(べんどく)には膏薬(こうやく)を敷(つけ)て。膿水(うみしる)をとらねばならず。
又此病温泉(とうじ)に入べからず。湯治(とうじ)して瘡傷(てきもの)
だん〳〵と腐(くず)るゝあり。或は早(はや)くいえすぎて痿■(こしぬけ)と
なるものあり。其(その)害(がい)あげていふべかるず。常(つね)の
入湯(いりゆ)も熱(あつ)きはわろし。其外庸醫の洗薬(あらひくすり)と
称(しやう)するものに。害(がい)をのこすも往々(おり〳〵)あるなり。
○此病夫(おつと)にあれば妻(つま)妾(てかげ)に傳(つた)へ。妻妾にあれば夫に
つたふ。又遺毒(ゆいどく)【「ヲヤユヅリノドク」 左ルビ】とて子孫にも流傅(りうでん)【「ウツシツタフ」 左ルビ】ス。父母の此病を