翻刻
を以て二千五百四十五|点(てん)の衣服を三郡|災害地(さいがいち)に向(む)け発送するを
得たり爾後(じご)も尚ほ続々(そく〴〵)寄贈(きそう)を申込むもの多きに依(よ)り県会議事堂
に臨時部(りんじぶ)出張所を設(まう)け特(こと)に其取扱ひをなし居れり
○罹災救恤事務所 巌手|県庁内(けんちやうない)へ今度臨時に救恤(きうじゆつ)事務所(じむしょ)を設
け委員を定(さだ)めて執務(しつむ)せしめ居れり
○篤志看護婦( とくしかんごふ) 京橋区西紺屋町八|番地(ばんち)看護婦会(かんごふくわい)主幹(しゆかん)山本里子
には看護婦|木村(きむら)たを子(こ)、秋尾(あきを)つるよ子、江場(えば)かよ子、青木(あをき)とも子、
小宮(こみや)よしえ子、福田(ふくだ)たま子、伊佐治(いさぢ)みし子、辻(つぢ)きよ子、星野(ほしの)きし子
等(ら)十名を随(したが)へ自費(じひ)を以て海嘯(つなみ)被害地(ひがいち)へ出張致度|旨(むね)巌手県知事へ
願出(ねがひいで)たるに同知事より電信(でんしん)にて被害地(ひがいち)盛町(さかりまち)へ向け出発ありたし
との回答(くわいたふ)ありたるに依(よ)り上野発(うへのはつ)の直行汽車にて同県(どうけん)へ向け出発
したり
○宇都宮(うつのみや)共立病院(きょうりつびゃうゐん) の副院長(ふくゐんちゃう)永峯(ながみね)九郎医師|平松孚之(ひらまつふし)の二氏は
今回(こんくわい)の災害に特志(とくし)を以て救護(きうご)の為(た)め去(さ)る二十四日|盛岡(もりをか)んい赴き直(たゞ)
ちに同県属(どうけんぞく)と同行被害地|釜石(かまいし)に向(む)け出発したりと
○大学(だいがく)救護医員の派遣(はけん) 今回(こんくわい)三|陸(りく)地方の海嘯(つなみ)に付負傷したる
者(もの)の救護(きうご)として帝国大学(ていこくだいがく)よりは医科大学付属医院の医員中|医学(いがく)
士(し)六名|外(ほか)二名に薬品(やくひん)及び治療用材料等を携(たづさ)へ被害(ひがい)の最も甚(はなは)だし
き巌手県へ向(む)け既(すで)に派遣(はけん)せしが大学職員|諸氏(しょし)は此挙(このきょ)を賛(さん)し若干
の醵金(きょきん)をなし是等(これら)の費用を補充(ほじう)せられたり
○第二|師団(しだん)の負傷民(ふしようみん)救療(きうりよう) 第二|師団(しだん)より三|陸(りく)被害地(ひがいち)へ派出し
たる軍医(ぐんい)以下|看護(かんご)人及び其|方面(ほうめん)は左の如し
六月十七日本吉郡歌津、大谷、気仙へ
陸軍一等軍医々学士鶴田禎次郎 同二等軍医岡田頴斎 同奥谷虎弥太 看護
長二名 看病人十五名
六月十八日宮城 遭難地方へ
陸軍ニ等軍医飯田祐治 同三等軍医井上好 同三等軍医岡崎松太郎 同吉井
虎之助 同医学士川島慶治
【下段】
六月十九日巌手県釜石へ
陸軍一等軍医 斎城捨之助 同二等軍医松井昌親 同牧野康二 同正木春次
耶 看病人四名
六月廿一日巌手県気仙郡盛町地方へ
陸軍一等軍医 中館長三郎 同三等軍医梶川兼三郎 同医学士加治安正 同
井上精則 同郷右近輔四郎 看病人十五名
六月二十日青森県遭難地へ
陸軍一等軍医大橋豊吉郎 同中村常三郎 看病人二名
○赤(せき)十|字(じ)社|派遣(はけん)人員 赤十字社より三陸へ派遣(はけん)したる人員(じんゐん)は
巌手(いはて)へ医員(いゐん)七名、看護人(かんごにん)二十三人、同婦(どうふ)人十八人、宮城県へ医(い)
員(ゐん)一名、看護(かんご)人一人、青森県へ医員(いゐん)三名看護人四人なりと
○赤(せき)十|字(じ)仮病院の設置(せつち) 赤十字社に於ては今回(こんくわい)の遭難(そうなん)を聞く
と同時に其地(そのち)の支社(ししゃ)をして仮病院(びやうゐん)を適宜の場所に設置(せつち)せしめ負
債者を収容(しうよう)して其医療に奔走(ほんさう)せるよしなるが其宮城県下に於け
る仮病院は、相川、志津川、伊里前、名足、小泉、大谷、明戸、気仙沼
、唐桑、宿、大沢等の各地(かくち)に設けられたるよし
○大日本|私立(しりつ)衛生会(ゑいせいくわい)の救護|派出(はしゆつ) 同会にては大海嘯(おほつなみ)地方(ちほう)の
負傷者(ふしやうしや)救護の為め元宮城県書記官|同会(どうくわい)役員(やくゐん)後藤敬臣氏にガーゼ
及|白木綿(しろもめん)数(す)百|反(たん)を携帯(けいたい)して被害地へ向け出発(しゆつぱつ)せしめたり
●郵便及び電信
○海嘯(つなみ)被害地方(ひがいちほう)の郵便物 今回(こんくわい)の海嘯(つなみ)につき被害地の各局(かくきょく)に
て流失(りうしつ)せし郵便物は其|調査(てうさ)頗(すこぶ)る困難にて其筋(そのすぢ)にても未(いま)だ詳細の
統計(とうけい)を製(せい)する能はざるも唯(たゞ)為替(かはせ)、貯金丈(ちょきんだけ)は逓信省の元簿にて判
然するを得(え)たりと扨(さて)其預人及預金高は左の如し(本年三月卅一
日現在)
預入 二千四百二十五人