東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

善悪道中記 - 翻刻

善悪道中記 - ページ 28

ページ: 28

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【右丁】  明達(さかしき)まゝに角(つの)を直(なほ)して牛(うし)を殺(ころ)すといふ人の善悪(ぜんあく)を詈(のゝし)り  他(ひと)を嫉(そね)み羨(うらや)み日々(ひゞ)足(たる)事(こと)を不知(しらず)万事(ばんじ)不足(ふそく)を言(いひ)て驕漫(おごり)を  事(こと)とす人(ひと)この神(かみ)の託宣(たくせん)に背(そむけ)ば忽(たちま)ち罰(はぢ)を蒙(かうむ)るあらたか  なる故(ゆへ)に山(やま)の神(かみ)といふまたひきずりの神(かみ)ともいふ 内儀(ないぎ)清浄(しやう〴〵)の屋代(やしろ) 妻皆道(さいかいだう)に在(あ)りこの於神様(おかみさま)は家事(かじ)倹約(つゞまやか)  にして慎(つゝし)み深(ふか)く夫(おつと)を天(てん)の如(ごと)く敬(うやま)ひ常(つね)に口数(くちかず)を少(すくな)く諸芸(しよげい)に  渉(わた)り給へども面(かほ)にも顕(あらは)さず別(べつ)して縫針(ぬひはり)の業(わざ)を得(え)給ふ子孫(しそん)  の為(ため)に子(こ)の養育(やういく)等閑(なほざり)なく教(をしへ)かた厳(おごそか)なるゆへにその子(こ)篤実(とくしつ)  にして老(おい)て後(のち)孝養(かうやう)を請(うけ)給ふ内儀(ないぎ)善神(ぜんじん)と申す清浄(しやう〴〵)の  屋代(やしろ)にて家内安全(かないあんぜん)を守(まも)り給ふと云(いふ) 【左丁】 逢愁街道(あふしうかいだう)は後悔道(こうくわいだう)の続(つゞ)きなり常(つね)に旅人(たびゝと)偶然(うつかり)とこの道筋(みちすじ)に  係(かゝ)る迷所(めいしよ)なり身(み)を知(し)る者(もの)は爰(こゝ)に行事(ゆくこと)を独(ひと)り慎(つゝし)む難所(なんしよ)なり  逢愁街道(あふしうかいだう)は幸不幸(かうふかう)の人(ひと)禍福(くわふく)ともに迅風(はやてかぜ)の如(ごと)く登(のぼ)り坂道(さかみち)忽(たちま)  ち下(くだ)り坂(さか)となる有為転変(うゐてんべん)の道筋(みちすじ)にていつも大船(おほぶね)に乗(のつ)た気(き)で  居(ゐ)るときは後悔道(こうくわいだう)に至(いた)る所(ところ)なり倒転先(ころばんさき)の杖(つえ)をつかず先(さき)に  立(たつ)道連(みちづれ)もなしといふ 南無三方荒神(なむさんばうくわうじん)の社(や[し]ろ) この社(やしろ)に百日(ひやくにち)の説法(せつほふ)ありしを放屁(はうひ)一 ̄ツ で種(たね)なしと  なす其時(そのとき)尻(しり)をすぼめたる旧跡(きうせき)なり◦跡(あと)の祭(まつり)あれども何事(なにごと)も  間(ま)にあはず皆(みな)後悔道(こうくわいだう)にあり 勘堂(かんだう)難渋(なんじふ)さんしよの一(いち)北儘(きたまゝ)上(うは)ばい千手観音(せんじゆくわんおん) 虱紐(しらみひも)の守(まもり)あり