翻刻
【右丁上部図内】
喜(よろこ)びきはまる
ときは
悲(かなし)みを生(しやう)ず
満(みつ)れば欠(かく)る
天理(てんり)あり
たゞ
足(たる)ことを
知(し)るには
しかず
ひまゆく駒(こま)【囲み線あり】
くわういんの箭嶽(やたけ)【囲み線あり】
○せきもりなし
光陰(くわういん)の関(せき)【囲み線あり】
【右丁下部】
悟喜乃(ごきない) 《割書:さとればよろこび|おほいなりといふ》
問皆道(とうかいだう) 《割書:なに事もみなしらぬ道は|とひてしるべしことなり》
唐桟胴(たうさんどう) 《割書:たうさんぞろひでおごりは|そこいたりでよろしからず》
算要道(さんえうだう) 《割書:さんようの道は日用の|ことゆへたしなむべし》
難皆働(なんかいどう) 《割書:なんかい道はきどあいらくの|みなよの中のはたらく内|にありといへり》
参隠同(さんいんどう) 《割書:いんとくをいふかくしてすれば|おのづからかくれてむくふとしるべし》
妻戒道(さいかいだう) 《割書:さいかいだうはにようぼを|いましめの道といふ事なり》
福禄道(ふくろくだう) 《割書:ふくをたもちふうきといふは|ひんふくともにあるをいふ》
外(ほか)に一統(いつたう)録(ろく)輯(しふ)余集(よしふ)
この本画(ほんゑ)になきくに昼三(ちうさん)が国むだ
傾城(けいせい)と遊女(いうぢよ)うたひめ色(いろ)ばなし
芝居(しばゐ)さし合(あい)これは画(ゑ)になし
【右丁枠外左下部】
道中二ヘン 四
【左丁】
国恩山(こくおんざん)豊稔(ほうねんの)人舎(じんじや)《割書:神社|なり》福禄道(ふくろくだう)第一(だいゝち)の名勝(めいせう)なり当国(たうごく)は風俗(ふうぞく)素(そ)
撲(ぼく)淳厚(じゆんかう)にして奢麗(しやれい)を好(このま)ず稼穡(かしよく)を力(つとめ)尚古(しやうこ)の風(ふう)を失(うしな)はず五風十雨(こふうじうう)
和平(わへい)にして五穀(ごこく)成熟(みのり)人民(たみ)富饒(ふねう)にして四海(しかい)波(なみ)静(しづか)に常(つね)に鳳凰(ほうわう)
舞(まひ)麒麟(きりん)遊(あそ)びて松(まつ)は常盤(ときは)の色(いろ)を更(かへ)ず梅(うめ)に紫蘭(しらん)の香(かうば)しきを熏(くん)ず
竹(たけ)は節操(せつさう)の程(ほど)よきを諭(さと)し亀鶴(きくわく)群遊(ぐんいう)して万歳(ばんぜい)をとなへ愛度限(めでたきかぎり)
を知(し)るべからず抑(そも〳〵)この地(ち)は人世(じんせい)第一(だいゝち)の所(ところ)にて万物(ばんもつ)育生(いくせい)の山(やま)には日月(じつげつ)の神(かみ)
鎮座(ちんざ)まし〳〵忠恕(ちうぢよ)の海(うみ)深(ふか)くして聖賢(せいけん)の道(みち)を渉(わた)りては往来(ゆきゝ)の貴賤(きせん)
詣(けい)して普(あまね)く神徳(しんとく)を仰(おほ)ぐ故(かるが)ゆへに本然(ほんぜん)の道筋(みちすじ)正直(しやうじき)正路(しやうろ)にして
曲(まが)れる道(みち)ある事(こと)なし孟子(まうし)の性善(せいせん)なれば悪道(あくだう)に入(いら)ざる教(をしへ)をなせよと
言(いひ)しも荀子(じゆんし)の性悪(せいあく)なれば善(せん)に入(いる)べき教(をしへ)をなすべしと諭(さと)し