翻刻
【右丁 白紙】
【左丁】
竹斎狂歌物語上
第一竹斎にらみをめし身体(しんだい)評定(ひやうちやう)の事
やぶぐすしの天下一と聞(きこ)えし。竹斎ねざし【注①】
いやしからねど。やせ小 僧(そう)の時(とき)にあはねは世
のうきふしのみしけく。先年(せんねん)みやこの春(はる)
をうちすてゝ。すみ所(ところ)もとむとて。あつまの
かたにまかりしか、なをいつくもおなし秋風(あきかせ)
は。かみこの袖(そで)にすさましく。三 界(かい)無安(むあん)【要は誤記】猶(ゆ)如(によ)
火宅(くわたく)【注②】のけふりは。やせたるむねをこがすあば
ら屋のうちたにも。借(しやく)家のすま居(ゐ)。らうがは
【注① 根差し=家筋。生れ。】
【注② 法華経 譬喩品の中の仏語。「三界無安 猶如火宅」(三界は安きこと無し。猶火宅の如し)】
【蔵書印】
帝国
図書
館蔵
【右欄外】
【朱丸印】明治三八・一一・二・購求・
【朱長方形印】中井文庫