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竹斎狂歌物語 3巻 - 翻刻

竹斎狂歌物語 3巻 - ページ 4

ページ: 4

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【右丁】 しく。くすりのまんといふ人は、【注①】まさ木のか つら【注②】くる事まれに。あをつゝら【注➂】おひもの【注④】ゝみ 春秋にかさなれは。在(さい)江 戸(と)のすまゐかなふま じとて。心しりのにらみの介ちかつけ。われ そのほうがしることく。身のうへかせがんために 大樹(をゝぎ)のかけに立より。あなたこなた徘廻(はいくわい)す るといへとも、猶(なを)心にもまかさゝれば、ふたゝび ふるさとへ立かへり。こけの衣(ころも)に身をやつし いかなる、山のおくの、おくへもわけ入。世をの かれんと思ふなり。なんぢはしはし此ところに 【左丁】 やすらひ。いかなる人をもたのみ。立身(りつしん)す へし。主従(しう〴〵)のちぎりこれまでと。とちほと【注⑤】 なるな■【ミ】たをなかしかたりけれは。木 男(おとこ)【注⑥】と聞(きこえ)し にらみの介も。岩(いは)木ならねは。此事をきゝ侍り。 おとこなきにぞなきにける。やゝありてなみ だををさへ、こは口おしき仰(おほせ)事なり。貞女(ていじよ)両(りやう) 夫(ふ)にまみえすとも聞(きこ)えたり。我(われ)忠臣(ちうしん)に あらずとも。いかてか二人のおやかた。取まいら せんと。みさほたゝしく申すれは、竹斎よろこ ばしげなるこは作(つく)りして。さやうに道(みち)を守(まも)る 【注① 「•」は読点「。」は句点と解釈す。】 【注② 「テイカカズラ」又は「ツルマサキ」の異名。蔓が糸のように繰ることができるので、「くる」に掛かる枕詞として用いられている。】 【注➂ 青葛籠(あおつづらこ)の略。衣服などを入れる、「ツヅラフジ」で編んだかぶせ蓋の箱。後の柳行李のようなもの。ここでは「負い」を導く序詞として用いられている。】 【注④ 負物=借金】 【注⑤ 栃程の涙=大粒の涙】 【注⑥ 無骨な男。不粋な男。】