東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 10

ページ: 10

翻刻

【右頁】 よくやしなひ得(ゑ)て千年(せんねん)の青(あを)き操(みさほ)をあらはし七尺の 人も壱尺の時をよくそだて得(ゑ)て百年の壽(ことぶき)をたも つ事をしるべきなり   ㊁誕生(たんじやう)の説(せつ) ◯父母(ふぼ)和合(わがう)してその両精(りやうせい)子宮(こぶくろ)に入る一月は珠露(しゆろ)のごとし とて其 形(かたち)たゞ一圓水(いちゑんすい)の露(つゆ)の玉(たま)に似(に)たり萬(よろづ)の木実(このみ)の 初(はしめ)てむすぶ時もその内みな水なるがごとし二月は桃花(もゝのはな) のごとしとてすこしく其形(そのかたち)をあらはすまづ臍帯(ほそのお)胞(ゑ)  衣(な)よりできはしめ漸(ぜん)〻(〴〵)に其かたち成就(じやうじゆ)して児(ちご)その胞(ゑ) 衣(な)を頭(かしら)にいたゞくこれ萬の 種(たなつ)【助詞「つ」の重複】つ物を植(うゆ)るにその芽(め)を 出す時は土中(どちう)より 孚甲(ふかう)をいたゞきて二葉(ふたば)生出(おひいづ)るなり 【左頁】 孚甲(ふかう)とは種(たな)つ物の上の殻(から)をいふそのごとく児子(ちご)生(むま)れ下 れは袍衣(ゑな)はしばらく母(はゝ)の胎内(たいない)に残(のこ)り半時(はんじ)一時(ひととき)の内にすな はち下るなりその時 臍帯(ほそのお)を断(たち)て後(のち)は種つ物の 孚甲の ごとく人の胞衣も臍帯も無用(むよう)の物となる也此胞衣は 父母(ふぼ)の一點(いつてん)の両精(りやうせい)珠露(しゆろ)のごときといふ時より一圓相(いちえんざう)【注】 の外(ほか)をつゝむ衣(ころも)なり道家(だうけ)にこれを混沌衣(こんとんゑ)と名付(なづく)るを もてそのことはりをしるべし千金論(せんきんろん)に胎内(たいない)の児(ちご)のかた ちを載す一月は珠露(しゆろ)のごとく二月は桃(もゝ)花のごとく三 月にして男女のかたちわかる四月にそのかたち全(まつた)くそ なはる五月に五藏(ござう)生(しやう)じ六月に六 府(ふ)成就(じやうじゆ)す七月に關(くはん) 竅(けう)通(つう)ず《割書:關竅(くはんけう)とは關節(くはんせつ)九竅(きうけう)の事也關節とは形(かたち)のつがひ手足(てあし)の|伸(のび)屈(かゞみ)する所をさしていふ九竅とは目(め)二つ耳(みゝ)二つ鼻(はな)二つ口一つ》 【注 一圓相 禅における書画のひとつで、図形の丸を一筆で描いたもの。】