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【右丁】
盛(さかん)にしてこと〴〵く出る事なくして六日に至つて
かへつて内臓腑(うちざうぶ)を攻(せめ)て死する也又三日にして死
する者あり此症は熱毒(ねつどく)甚(はなはだ)盛(さかん)にして洩(もるゝ)事なくして
臓腑(ざうふ)傷(しやう)をうくる故にその死する事すみやかなりと
云へり如此の逆証(ぎやくしやう)は十にして八九は死するなり早く
心を付て療治(りやうぢ)すれば十にしてひとりふたりも生る事
ありよく〳〵心得べき事なり
(十二)痘瘡(いも) 発熱(ほつねつ)の時節(じせつ)善悪(ぜんあく)の説(せつ)
○痘瘡 初発(しよほつ)の熱(ねつ)はいかにも和(やはらか)にして煖(あたゝか)に或は熱し
或は退(しりぞ)き病者(ひやうじや)の気(き)爽(さはやか)にして食事(しよくじ)常(つね)のごとく大
便 調(とゝのほ)りて色(いろ)黄(き)に小便すみて他(た)の症なく二三日
【左丁】
熱ありて痘(いも)少くあらはるゝを順症(じゆんしやう)と名付て薬を用るに
およばざる也
○初(はじ)めて熱(ねつ)する時しきりに驚(おどろ)き手足を搐溺(ちくでき)《割書:手足をびく|つかするをいふ》
する者はかならす内の毒気(どくき)外へ出るなり多くは痘瘡(いも)
軽(かろ)きもの也 総(そう)【惣】じて序病(じよびやう)につよく煩(わづ[ら])ふものはかならず
軽きものなり
○初(はじ)めて熱する時 吐逆(ときやく)をなししきりに唾(つばき)をはく証(しやう)あり
又 大便(だいべん)一両日の間に二三度ほど下りてそののち留るも
のあり此二つの症は痘毒(とうどく)内より外に出るなりいづれも
吉事也あわてゝ薬を用て吐(と)をとめ瀉(しや)をとむる事なか
れしかいへど大便数十度も下り吐逆(ときやく)もきびしく