東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 12

ページ: 12

翻刻

【右頁】 てはいにしへいまに傳(つた)はらずたゞ産婦(さんふ)にのみ氣(きづかい)をして 児子(ちご)は収婆(しうは)《割書:和俗に子とりといひ|子ぞへばゝといふ》に打まかせて置(おく)によりて ひたすらに啼(なき)て口中の穢(けがれ)たる悪汁(あくじう)を咽(のんど)にのみ入る故 に多くは胎毒(たいどく)の病をまぬかれず《割書:啓益|》常(つね)にこゝろみに 中花(もろこし)のごとく児子生れ下るとそのまゝ口中を拭(ぬぐ)ふ法(はう)を 用るに甚(はなはだ)益(ゑき)多(おほ)しこれを日本の風俗(ふうぞく)になさしめんと おもひ産婦(さんふ)ある家(いへ)にいたればかならず此事をしめす 心あらん人は予(よ)が志(こゝろざし)をつぎて世間(せけん)におしひろめ給へ ◯博愛心鑑(はくあいしんかん)といふ書(ふみ)に児子母の胎内にある時は母とその 氣を同しくしその呼吸(こきう)をともにして眼(まなこ)を開き口を ひらくの事なしいかんぞ胎内の穢れたる悪汁を飲(のむ)事 【左頁】 あらんやと見えたり誠(まこと)にさあるべき事なりしかれども児子(ちご) すでに分娩(ぶんめん)して道をもとめ子宮(こぶくろ)をわかち出る時に いたりてははや口をひらくの理(り)あり生れ下る時にして は猶更(なをさら)その穢毒(ゑどく)をふくみ飲(のむ)べきなりいまこゝろみに口中 を拭(ぬぐ)ふにかならず穢(けが)れたる悪汁(あくしう)多し又生れ下ていま だ乳(ち)をのまぬさきに大便(だいべん)に穢毒を通ずるを見れば 胎内の穢毒をふくむといふ古人(こじん)の説(せつ)疑(うたが)ふべからざるべし   ㊂児子生れて即時(そくじ)に用る薬剤(やくざい)の説(せつ) ◯児子生れ下るとそのまゝ黄連(わうれん)の法(はう)を用べし黄連《割書:二分》 甘草(かんざう)《割書:二分|五厘》絹(きぬ)につゝみ或(あるひ)は乳頭(ちまめ)の状(かたち)のやうにこしらへ 熱湯(あつゆ)にひたしこれを用ればその穢毒を吐出(はきいだ)すなり