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【右丁】
き者は九死一生なり急(きう)に大料(だいりよう)《割書:大ふくを|いふ也》の人参を用ざれ
は救(すく)ふ事なし総(そう)【惣】じて痘瘡 貫膿(くわんのう)の時節は人参を
用たるがよき也此 意(こゝろ)は元気(げんき)を表分(ひやうぶん)にはこび出すを
以内はかならず虚弱(きよじやく)になるものなれはなり能々心得
へき事なり
○貫膿の時節手にてなづるに皮(かは)軟(やはらか)にして皺(しば)む者は悪し
○貫膿の時節にいたりても痘の色 紅(くれなゐ)なる者は血実(けつじつ)
熱毒(ねつどく)の症なり必 紫(むらさき)色に変(へん)じ後には黒色になりて
死するなり
○貫膿の時にいたりて総【惣】身はいづれもよく膿(うみ)をもつと
いへ共ひとり天庭(てんてい)《割書:天庭とは眉(まゆ)の上の|額の真中をいふ也》の所貫膿せざるは
【左丁】
悪症なり必変して死にいたるなり
○貫膿の時痘瘡よくはり起りて見ゆれ共其中水
多くして膿(うみ)すくなく痘(いも)の勢(いきほひ)脹起(ちやうき)に似(に)たる者は極めて
悪症なりこれを庸医(ようい)は大形(おほかた)よき勢の痘と心得て
油断(ゆだん)して多くは変して死するにいたる能々心得へき
事なり
○貫膿の時節 面目(めんもく)の腫(はれ)早くしりぞき瘡(かさ)陥(おちくぼ)り膿(うみ)
少きものは悪し総【惣】じて痘の病人の顔(かほ)の地(ぢ)腫(はれ)はや
く減(へる)事は悪証なり痂(ふた)落(おち)て後までも地腫ありて漸(ぜん)
々(〳〵)に減(へる)ものを吉(よし)とす
○貫膿の時しきりに痘瘡(いも)痛(いたみ)を発(はつ)し堪(たえ)がたきものは