← 前のページ
ページ 135 / 169
次のページ →
翻刻
【右丁】
は和名(わみやう)けんほのなしといふなり
○痂(ふた)落(おつ)るといへ共 瘢痕(かさあと)なを黯黒(ずみくろく)或は凹(なかくぼ)凸(なかだか)なる者は悪症
なり乳香(にうかう)の末(まつ)をすりぬりてよし
○痂落て後 両目(りやうめ)ひらく事なく日の光(ひかり)をにくみ或は
暗(くら)き所にてもひらかざる者は眼(まなこ)のうちに瘡(かさ)ありとしる
べし早く驚(おどろ)きて上手の目医師(めいし)に見せて療治(りやうぢ)すべ
きなり痘(いも)目(め)の内に出たるには雀(すゞめ)の立糞(たちふん)を乳汁(ちのしる)に
すりて目にいれたるがよき也
○痂落て後 唇(くちひる)口あるひは歯齦(はぐき)又は鼻(はな)の孔(あな)に瘡(かさ)あり
て膿(うみ)出て臭(くさ)きは痘(いも)の余毒(よどく)なり打 捨(すて)て療治(りやうぢ)せざ
れは鼻(はな)崩(くづ)れ頬(ほう)破(やぶ)れて死(し)するなり大連翹飲(だいれんぎやういん)《割書:薬方|前に》
【左丁】
《割書:出る|なり》を用べしそのしるし神のごとし
○痂落て後 総(そう)【惣】身(み)の瘢痕(かさあと)痒(かゆ)き事しきりなるは悪し
多くは虚証(きよしやう)なり保元湯(ほうげんたう)を用べし
○痂落て後 総【惣】身の瘢痕みな風癮(かざぼろせ)のごとくになる
証あり蜆子貝(しゞみがい)の煮汁(にしる)にて洗(あら)へはたちまち愈(いゆ)る也
○痂落て手の曲池(きよくち)《割書:臂(ひぢ)のかゞみ|たる所をいふ》足(あし)の膕中(こくちう)《割書:膝の内のひき|かゞみをいふなり》
腋下(わきのした)その外 身(み)の節々(ふし〴〵)に痘(いも)の毒(どく)滞(とゞこほ)りて癰(よう)のごとくな
りて後には骨(ほね)のうちに腐(くち)入て多骨疽(たこつそ)附骨疽(ふこつそ)な
どのやうに骨(ほね)くちて瘡口(かさぐち)より出て一生涯(いつしやうがい)平愈(へいゆ)せず
手足(てあし)に滞(とゞこほ)る者は手足 挙(あぐ)る事あたはずこれを和俗(わぞく)
痘(いも)の余(よ)【疒+邕】(り)といふなり早く驚(おどろ)きて十宣内托散(じうぜんないたくさん)或は