東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 136

ページ: 136

翻刻

【右丁】 補中益気湯(ほちうゑききたう)に連翹(れんきやう)酒黄芩(しゆわうこん)山梔子(さんしゝ)防風(ばうふう)を加へて用 べしその効(しるし)多し外には米泔水(こめのとぎしる)を炭火(すみび)にて煉(ねり)て黄(あめ) 牛(うし)の糞(ふん)を黒焼(くろやき)にして細末(さいまつ)してこれにまぜてつく ればその瘡(かさ)愈(いゆ)るなりこれ築紫(つくし)の野人(やじん)の伝(でん)なり《割書:啓益》 つねにこゝろみてしるしをとるなり ○痂(ふた)落(おち)て後 膿(うみ)出て皮膚(ひふ)弱(よは)く瘢痕(かさあと)より汁(しる)出ある ひは瘢痕(かさあと)魚(うを)の腸(はらわた)の水ぶくれのかたちのごとくなるに 黄牛(あめうし)の糞(ふん)を陰乾(かけぼし)にして細末(さいまつ)してつくればたち まち愈(いゆ)るなりこれ秘蔵(ひさう)の事なり ○痘瘡(いも)愈(いへ)て後小児をして園中(そのゝうち)又は庭(には)に出て土座(とざ) にて遊(あそ)ばしむべからす四五十日 過(すぎ)てもかならず変証(へんしやう)出て 【左丁】 急(きう)に死(し)するものなりこれを築紫(つくし)のかたにては螻蛄風(けらかぜ) に逢(あふ)といふなり痘瘡(いも)の後四五十日も螻蛄(けら)を見る事 をいむなり此事 中花(もろこし)の書(ふみ)におゐて見ず又は京都(きやうと)東(とう) 武(ふ)などにてはかつて人のいはぬ事なれ共 築紫(つくし)の方(かた) にてはまゝ多き事なり痘後(いもののち)は皮膚(ひふ)うすき故に土(ど) 気(き)などにふれをかさるゝ事悪きなるべしかならず螻(け) 蛄風(らかぜ)のみにあらず蚯蚓(みゝず)蛇(へび)百足(むかで)の類の悪虫(あくちう)をもさけ いみたるがよろしかるべき也 ○痘瘡の後 軽(かろ)きものは五十日 重(おも)きものは七十五日或 は百日のうち保養(ほうよう)慎(つゝし)むべし乳飲子(ちのみご)は乳母(めのと)のつゝし みをろそかにすべからず三四歳よりは飲食(いんしよく)の慎(つし)み