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【右丁】
○ 兔(うさぎ)の肉(にく)を煮(に)て食(しよく)する時はあらかじめ痘毒(いものどく)を解(げ)
するの妙(めう)ありと本草綱目(ほんざうかうもく)にのせたり
○活幼心法(くわつようしんほう)の説に痘(いも)の毒(どく)は胚胎(はらごもり)の時より稟受(うけうけ)て五
臓六腑に潜(ひそま)【僭は誤】り伏(かく)れて声(おと)もなく臭(か)もなきの毒(どく)に
して数年(すねん)の後たま〳〵天地の気運(きうん)の邪気(じやき)にさそ
はれて出る病なればあらかじめ防(ふせ)ぎ解(げ)するといふの
理(ことはり)なし予(よ)か婦(ふ)男女(なんによ)の子十人を産(さん)すいづれも痘(いも)を
やめりこゝろみにあらかじめ痘の毒を解する薬(くすり)を
用たる者六人ありみなその痘かへつて重し薬を
用ざる者四人あり皆その痘いたつて軽(かろ)かりきこれ
をもつて見れは痘毒(とうとく)の軽重(けつぢう)は胚胎(はらごもり)の内より定(さだま)
【左丁】
りたる事なりとしるべしあらかじめ解するの薬
みな脾胃(ひゐ)をやぶる剤にして損(そん)あつて益(ゑき)なしと
見えたり聶尚恒(しやうしやうごう)の此 論(ろん)議に至極(しごく)の理(ことはり)なり 本邦
にても富貴(ふうき)の家は隣(となり)の国里に痘瘡(いも)はやるといへば
あらかじめ防(ふせぐ)といひて種々の薬を用なり古人の語(ご)
にも薬を服(ふく)せざる中 医(い)を得るとあれは用ざるには
しかじ
○外よりなす事は何事にても苦(くる)しかるまじき事
とはいへどそれさへ又その品によるべきなり元禄の
初年(しよねん)に築紫(つくし)日向(ひうが)の国のかたほとりにあやしき巫(かんなぎ)あ
りて神の乗移(のりうつ)り給ふといひて希有(けう)なることを