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【右丁】
にわかちつかはして人をまどはすなり此 漆(うるし)の毒に
あたりて小児によりてはその瘡(かさ)そのまゝ愈(いゆ)る事なく
して疵(きず)つくに至る者多ししかれは外よりなす事は
妨(さまたげ)なしとばかりも云へからず能々心得べき事なり
㊄麻疹(はしか)の説(せつ)
○陳文宿(ちんみんしゆく)【注】の説に痘 疹(はじか)の二証(にしやう)共に胎毒(たいどく)のなす所にし
て痘はその毒(とく)五臓(ござう)より発(おこり)てその瘡(かさ)大にして豆の
ごとし麻疹(はじか)はその毒六腑におこりてその瘡(かさ)小にして
麻(あさ)の実のごとし発熱(ほとをり)の時 傷寒(しやうかん)に似てはげしく
たゞ咳嗽(しはぶき)しきりにして声(こへ)啞(かれ)て出ず咽(のんど)腫(はれ)痛(いたみ)口 乾(かは)
き咽(のんど)喝(かつ)して渇水を飲事かぎりなし発熱(ほとをり)一両日
【左丁】
にして身体(しんたい)皮(かは)の中にすき間なく出て蚊(か)の喰(くひ)た
る跡(あと)のごとく或は粟粒(あはつぶ)のごとく出て後 熱(ねつ)退(しりぞ)き半
日一日或は一日半日二日にして疹子(はじか)収(おさま)るものは順症(じゆんしやう)に
して薬(くすり)を服(ふく)するに及はさるなりと見えたり
○疹子(はじか)発熱(ほとをり)の時まづ升麻(しやうま)葛根湯(かつこんたう)《割書:その薬方痘瘡の|所にのす考べし》
に加減(かげん)して用てよし熱(ねつ)つよくは黄芩(わうこん)黄連(わうれん)羌活(きやうくわつ)
防風(ばうふう)を加(くは)えてよし総(そう)【惣】身(み)汗(あせ)出るものはその毒(どく)汗(あせ)にした
がつて出やすし咳嗽(しはぶき)甚(はなはだし)きものは参蘇飲(じんそゐん)《割書:薬方痘瘡|の所にのす》
《割書:考ふ|へし》に黄芩(わうこん)桑白皮(さうはくひ)を加てよし咽(のんど)痛(いたむ)ものには葛(かつ)
根(こん)桔梗(きゝやう)を倍(ばい)し黄芩(わうこん)連翹(れんぎやう)を加へてよし
○疹子(はじか)発熱(ほとを[り])の時外は風寒(ふうかん)にあたり内は生物(なまもの)冷物(ひへもの)の類(るい)
【注 144コマでは「ちんぶんしゆく」と仮名を振っている。】