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【右丁】
書(ふみ)にも九拝(きうはい)のそのひとつに振動(しんとう)とある註(ちう)に振動とは
今(いま)倭人(わじん)《割書:日本人|をいふ》の拝礼(はいれい)に両手を合てうつがごとし
と見えたりしかれば 日本はいにしへより伝(つた)へ来る礼法(れいはう)な
り今の世たゞくだりていにしへの事をとりうしなひ
てしるものなく神道者(しんたうじや)の類 神(かみ)を拝(はい)する時に拍手(かしはで)
とて両手を合てうつ事を用るなり都(と)【左ルビ:みやこ】鄙(ひ)【左ルビ:ひな】共に商(あき)
人(びと)交易(かうゑき)の時たがひに手をうつ事も相済(あいすみ)たるといふ
礼法のしるしなるにや小児にまづ拍手(てうち)を教(をしゆる)事は
礼を教の初(はしめ)にしてふるき遺法(ゐはう)なるべし振頭(かぶり)はい
やといふ事を教(をしゆ)るなり礼(れい)の字(じ)の和訓(わくん)をいやとよむ
なれは是又 礼儀(れいぎ)を教るの事なり人として礼なくんは
【左丁】
畜類(ちくるい)もおなじ事なるべし詩経(しきやう)にも鼠(ねずみ)を相(み)れは体(すがた)
あり人として礼(れい)なくんばなんぞはやく死(し)せざると
見えたり
㊂男女(なんによ)の小児(せうに)物をくひ物をいふ時の教(おしへ)の説
○礼記(らいき)の内則(だいそく)に児よく食(しよく)を喰(くら)ふ時は右の手を用る
事を教(おしゆ)べしと見えたり又 礼(れい)は食(しよく)にはじまるとあれ
ばいとけなき時より食を喰(くら)ふ時の作法(さはう)を教る事第
一なり小児は食にあひては飽期(あくご)をしらす乳母(めのと)の類(たぐひ)心
得てすゝむへし児子 啼(なく)事あれはしばらくその啼(なき)を
やめんとては甘(あま)きものゝ類をあたへて悦(よろこ)ばしむればその
児食を見てはかならず啼(なく)事多しこれを姑息(こそく)と