東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 151

ページ: 151

翻刻

【右丁】 書(ふみ)にも九拝(きうはい)のそのひとつに振動(しんとう)とある註(ちう)に振動とは 今(いま)倭人(わじん)《割書:日本人|をいふ》の拝礼(はいれい)に両手を合てうつがごとし と見えたりしかれば 日本はいにしへより伝(つた)へ来る礼法(れいはう)な り今の世たゞくだりていにしへの事をとりうしなひ てしるものなく神道者(しんたうじや)の類 神(かみ)を拝(はい)する時に拍手(かしはで) とて両手を合てうつ事を用るなり都(と)【左ルビ:みやこ】鄙(ひ)【左ルビ:ひな】共に商(あき) 人(びと)交易(かうゑき)の時たがひに手をうつ事も相済(あいすみ)たるといふ 礼法のしるしなるにや小児にまづ拍手(てうち)を教(をしゆる)事は 礼を教の初(はしめ)にしてふるき遺法(ゐはう)なるべし振頭(かぶり)はい やといふ事を教(をしゆ)るなり礼(れい)の字(じ)の和訓(わくん)をいやとよむ なれは是又 礼儀(れいぎ)を教るの事なり人として礼なくんは 【左丁】 畜類(ちくるい)もおなじ事なるべし詩経(しきやう)にも鼠(ねずみ)を相(み)れは体(すがた) あり人として礼(れい)なくんばなんぞはやく死(し)せざると 見えたり   ㊂男女(なんによ)の小児(せうに)物をくひ物をいふ時の教(おしへ)の説 ○礼記(らいき)の内則(だいそく)に児よく食(しよく)を喰(くら)ふ時は右の手を用る 事を教(おしゆ)べしと見えたり又 礼(れい)は食(しよく)にはじまるとあれ ばいとけなき時より食を喰(くら)ふ時の作法(さはう)を教る事第 一なり小児は食にあひては飽期(あくご)をしらす乳母(めのと)の類(たぐひ)心 得てすゝむへし児子 啼(なく)事あれはしばらくその啼(なき)を やめんとては甘(あま)きものゝ類をあたへて悦(よろこ)ばしむればその 児食を見てはかならず啼(なく)事多しこれを姑息(こそく)と