東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 152

ページ: 152

翻刻

【右丁】 いふ姑息(こそく)とはしばらくやむるとよみて児子(ちご)の啼(なく)事 や機嫌(きげん)のそんじたるをしばらく甘(あま)きものなどあたへ てやむる事なり一説(いつせつ)に姑(こ)は老女(らうぢよ)にてうばとよみ 息(そく)はやしなふとよめばうばそだてといふ事なり共いへり 児子(ちご)に食をあたふる時物かげ人の見ぬ所など又は 下々と一所にてかりにも食(しよく)せしむべからす父母(ふぼ)の前 にて食(しよく)しならはすべしいとけなき時より物かげに て食しなるれば食にむかへばかならずよろこびいかりひ としからぬものなり能々可心得事也 ○王隠君(わうゐんくん)のいとけなき時 好(この)んて飴(あめ)を嗜(たし)まれけるに 或時(あるとき)飴(あめ)のうちに蚯蚓(みゝず)ありて頭(かしら)をひきて出るを見て 【左丁】 これより飴をくふ事なかりきひとゝなりて始(はしめ)て母(はゝ) のたくみてかくし給へる事をしりぬ此事なくんばひ たすら喰(くひ)て疳虫(かんのむし)を生し病をおこし又は死にいたる へきにありかたき母の恩恵(おんけい)なりと保嬰論(ほうゑいろん)に見えたり  日本にてもかくのごときの事多けれは父母(ふほ)乳母(めのと)とも に心をつけて食をあたへ食する時に作法(さはう)よく教(おしゆ)る 事第一とすべき事なり児子によりて左(ひだり)の手のきゝ たる生れつきもありかならす箸(はし)を左(ひだり)の手にてとるも のなり是もいとけなき時よりしゐて右にとる事を 教れはよのわざはみな左(ひだり)を用れ共 箸(はし)計(ばかり)は右にとる ものなり是もそのまゝおけは長(おとな)になりても右にとる