東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 160

ページ: 160

翻刻

【右丁】 教ゆるとおしへざるとによるなりことに教は先(まづ)入(いる)の 言(こと)を主(しゆ)とすと見えていとけなき耳(みゝ)によく聞(きゝ)おぼ えたる事 一生涯(いつしやうがい)の徳義(とくぎ)となるものなればよき師(し)よ き友(とも)をえらびて教(をしへ)しむべき事なり狸(たぬき)の竹(たけ)の輪(わ)を くゞり猿(さる)の船(ふね)に棹(さほ)さし舞(まい)おどる類(たぐひ)みな教(をしへ)にしたが ふなれは人なるを以 獣(けたもの)にだもしかざるべけんや ○手習(てならひ)の事 肝要(かんよう)なり手習の時 万事(ばんじ)作法(さはう)あしけれ は一 代(だい)の所作(しよさ)みな不道(ぶだう)なり子細(しさい)は諸道(しよたう)を導(みちび)くことは 書(しよ)を以もとゝするの事なればなり ○手習 勤(つとめ)候事は朝(あさ)十返(しつへん)昼(ひる)三十返 晩(ばん)十返ならふべし 手本ひとつを十五日とさだめて五日に一へんつゝ清書(きよがき) 【左丁】 をなして三度めの清書(きよかき)を諳書(そらがき)にすべし《割書:諳書(あんしよ)とは中に|おほくて書事也》 和俗 近来(きんらい)童(わらは)をして手習師(てならひし)匠(しやう)にまかせて手習を さする事なればその勤方(つとめかた)はその師匠(ししやう)の教(おしへ)にまかすべ きなり又ちかき比は女(め)の童(わらは)をも七八歳より十二三歳 までは手習所につかはすなりこれはなはだ悪しき 風俗(ふうぞく)なり七歳よりは男子(なんし)と女子(によし)と席(せき)を同(おな)じく すべからずとこそ古聖(こせい)のいましめ給ふにかく外へつか わして男(お)の童(わらは)とひとつにまじはる事あるべからす元(もと) より手習師匠もその事をさとりて男の童と 女の童とは間所を隔(へだて)て教(おしゆ)るといへ共その所せばけれ ばひたすら男の童のなす所を見馴(みなれ)をのづとなれ