東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 161

ページ: 161

翻刻

【右丁】 うつりてあしきなり富家(ふうか)はもとよりさらなり貧(まづ)し き人も心得べき事なり女の童はとにかくに内にをき て外に出すべからす物書事も大かたに文(ふみ)のやりとり さへ間(ま)のわたるほとならばしゐてよく書(かく)にも及(およぶ)まじ き事なるべし ○朝(あした)には早(はや)く起(おき)て楊枝(やうじ)をもて口中(こうちう)をみがき手あらひ 口すゝぎ髪(かみ)をゆひ手水(てうづ)をつかひて卓(しよく)に向(むか)ふべし ○手習仕上りてのち筆のよごれたるをは双紙(さうし)にてぬぐひ いケ(か)にも奇麗(きれい)にして筆(ふで)をも硯(すゞり)をも水(みづ)入をも押板(おしいた) の上(うへ)にそれ〳〵あるべき所に置(をき)て押板(おしいた)を直(なを)し手水(てうづ)を つかひ手(て)顔(かほ)に墨(すみ)の付たるやと鏡(かゞみ)を見て鬢(びん)をなを 【左丁】 させ扨そのゝちはいケ様なる遊(あそ)びをもなし諸芸(しよげい)をつと むべきなり ○手習の時 不行儀(ふぎやうぎ)にして筆(ふで)三対(さんつい)六つをは六(む)所にな げ捨(すて)水入をく所に墨(すみ)を置(をき)墨をおく所に水入をうつ ぶけておき顔(かほ)や手に墨の付(つき)たるをもしらす丸腰(まるごし) ながらかけ出し草履(そうり)を片々(かた〳〵)どちはき走(はし)りめぐる ごとくにそだちたる童(わらんべ)は長(おとな)になりて奉公(はうこう)に出て も主(しう)の目(め)をしのびぶ作法(さはう)なる事のみ多く種々(しゆ〴〵)の 外言(としごと)を云ひ我(わが)あやまりを傍輩(はうばい)にぬり科(とが)ひとつに 虚言(きよげん)を数八百(すはつひやく)もつくりてのがれんとするものなりこ れみな手習の時に足を踏(ふみ)出したる事 僻(くせ)となりてかく