東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 164

ページ: 164

翻刻

【右丁】 もとめて習(なら)はしむへきなり ○盤上(はんしやう)といふものは博奕(ばくゑき)の類にしてさして習(なら)ふべき 事にしもあらねど 本邦(ほんほう)の俗(ぞく)多く好(この)む所にして賓(ひん) 客(かく)をもうけ或(あるひ)は客(きやく)にまねかれたる時その事あるに石(いし)の 生死(いきしに)をも見分(みわけ)がたく駒(こ[ま])のきゝ道(みち)をもしらぬはむげに拙(つたな) き事なれはしりたるがよきなり最明寺(さいみやうじ)殿(どの)のうたに  盤上(はんしやう)をさのみにすくはうつけもの   人のゑしやくにおりふしはよし 又おなじ哥に  基(ご)象戯(しやうぎ)にまけても笑(わら)ふ人ぞよき   まけばらたつる顔(かほ)は見苦(みぐる)し 【左丁】 とよみ給へば勝負(しやうぶ)をつのり又は脇(わき)より助言(じよごん)など いふべからす盤上(ばんしやう)の助言(じよごん)により人をせかせて不 慮(りよ)に 云ぶんになりて打はたすに及ふ事などもあり殊に 双六(すごろく)は猶更(なをさら)好むべからす総【惣】じて盤上はしりてこのまぬ をよしとするなり謡(うたひ)茶礼(ちやれい)盤上はいとけなき時に 習はねは年たけては習ひがたきものなり前髪(まへがみ)をも取 たる男(おとこ)の口うつしに謡(うたい)をならひ四つめごろし駒のきゝを いふ事も恥(はづか)【耻は俗字】しき事におもひて一生涯(いつしやうがい)此事をしらず その座(ざ)にいたれはよほどよき人物(じんぶつ)に見ゆる男(おとこ)の一(ひと)ちゞ みになりたるもおかしき事なれは此 芸(げい)は殊更(ことさら)いとけ なき時に少にてもならひておくべき事なり能々心得