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【右頁】
邪(じや)おかしやすきなり中花(もろこし)にては十日に一へん宛(づゝ)洗ふ
なり 本邦の風俗は二日三日に一へんあらひ又は毎日(まいにち)
洗へば児子の元氣(けんき)もれ皮層(ひふ)薄(うす)くなりて風を引やす
し十日とあらはねは児子は熱(ねつ)のつよきものにて瘡(かさ)
癤(ねぶと)を生ず大形(おほかた)は二日三日めにあらひてよし常(つね)に児子
に浴する時 股(もゝ)の付 根(ね)又は脇(わき)の下などを念(ねん)を入て洗ふ
べきなり
◯證治準縄(せうぢじゆんじやう)に児子を洗ひてのち米粉(こめのこ)をすりぬり或は
牡蠣粉(ぼれいのこ)をすりぬるべしと見えたり《割書:啓益|》按(あん)ずるに米粉
を用れば小児(せうに)によりて肌(はだ)に虫(むし)を生し虱(しらみ)を生ずる事
あり牡蠣粉(ぼれいのこ)或は葛粉(くずのこ)又は天花粉(てんくわふん)をすりぬりたるがよ
【左頁】
しかくのごとくすれは夏は痤疿(あせぼ)を生せずいづれも皆粉
を随分(ずいふん)細(こま)かにしてぬるべし児子は皮膚(ひふ)の理(きめ)こまやか
にやはらかなれば麁末(そまつ)なる粉をすりぬればかへつて
其あたりたる所かぶれて瘡(かさ)となるものなり又児子に
よりて腮(あぎと)の下又は股(もゝ)の付もと脇(わき)の下たゞれて 汁(しる)を
出すあり上(かみ)にいふ所のごとく浴させて天花粉牡蠣の
粉の類をすりぬり或は碾茶(ひきちや)をすりぬるもよきなり
㊆乳付(ちつけ)の説(せつ)《割書:付たり|》乳母(にうぼ)をめのとゝいひ摩(ま)〻(ゝ)といふの説
◯生れ子取擧て後 古(ふる)き衣類(いるい)又はふるき綿(わた)を襁褓(むつき)
としてつゝみまくべしいま児子 胎内(たいない)のあたたかなる所よ
り出て風日(ふうじつ)を見れば夏の時といへども衣類にまきて