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【右頁】
事(じ)には旨(むま)【㫖】き物 魚(うを)鳥(とり)の類(たぐひ)をすゝめ猶更(なほさら)道理(だうり)にくらき人
は乳汁(にうじう)は食(しよく)事によるなり乳母をして飽満(あきみつ)るやうに
せざれは乳(ち)も出(いづ)る事なしとて昼夜(ちうや)六七度も食はしむ
乳母はつねに喰馴(くひなれ)ぬ美物(びもつ)なれは口にかなひて喰過(くひすご)し脾(ひ)
胃(ゐ)に充塞(みちふさかり)て脹満(ちやうまん)の病となり或はあやしき病となり死(し)
するに至(いた)る者多し又その家によりて乳母(めのと)の致(いた)しも馴(なれ)
ぬ行儀作法(ぎやうきさはう)を教(をし)へ平生(へいぜい)の居(ゐ)ずまゐもとしてあれかく
してあれこと葉もいやしくて悪(あし)きなどいひて乳母
の家に在る時かつて見も聞(きゝ)も馴(なれ)ぬ業(わさ)をならはしむる
により乳母の気(き)鬱(うつ)し滞(とゞこほ)りて乳脉(にうみやく)通(つう)せずをのづから
乳(ち)も出ぬもの多(おほ)し又其家により此 理(り)ある事を聞おぼ
【左頁】
【乳母が座敷でお方様をはじめとする家の女性達に取り巻かれ,児子に授乳している図】