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【右頁】
え乳母は気つまりては乳も出ぬものなりとかく乳母は
我まゝにはたらかせたるがよきとゆるせば和俗(わぞく)の諺(ことはさ)にいふ
がごとく舩頭(せんどう)馬方(むまかた)御乳母人(おちのひと)といふごとく我(わが)まゝ過て奢(おごり)
やすく甚しきものは隣家(りんか)の小者(こもの)部(べ)屋をかけ廻(まは)り婬乱(いんらん)
放逸(ほういつ)にして家の法を乱(みだ)し児子をもおろそかにとりあ
つかひて不慮(ふりよ)に怪我(けが)をさせ疵付(きずつく)る事 多(おほ)くその上児子も
乳母の事を贔屓(ひいき)して多くは乳母の性(しやう)に馴(なれ)て我まゝ
者に成事あり乳母は能(よく)〻撰(えらぶ)へき事也
◯蠡海集(れいかいしう)に乳汁(にうじう)の色(いろ)【ク+也】は白し白(しろ)きは金(かね)の色【ク+也】金(かね)は肺(はい)の蔵(ぞう)
の主(つかさど)る所 肺(ばい)は人の元氣(げんき)を主(つかさど)る乳汁は生育(せいいく)の 氣(き)の根(ね)
ざす所 氣(き)をしき賦(くば)る始(はじめ)なれは其色(そのいろ)【ク+也】白しと見えたり然
【左頁】
れは乳汁(にうじう)の色(いろ)【ク+也】は白きを貴(たつと)ぶなり乳母をえらぶ時其 乳(ち)
をしぼらせて其色【ク+也】を見るべし色【ク+也】黄にして濁(にご)る類(たぐひ)の乳
ならは必用事なかれ能〻心得へき事なり
◯千金方の説に乳母 健(すくやか)なる者は乳の出来(いてくる)る【語尾の重複】事多く其
㔟(いきおひ)猛(たけ)くこれを揉(もめ)ば必 飛走(とひはし)るものありこれを按(もみ)てその
㔟をへらして後 児子(ちご)に飲(のま)しむべしつねに乳母(めのと)児子(ちご)に
乳を飲しむる度毎(たびこと)にまづ按(もみ)て上乳(うはち)をさりて用べしこれ
を宿熱乳(しゆくねつにう)と名付(なづけ)て小児に毒(どく)をなすと見えたり
◯乳母(めのと)の飲食(いんしよく)すなはち乳汁(にうしう)と通(つう)ず児子(ちこ)其乳を飲は
たち所に感應(かんおう)するなり詳(つまびらか)に左(ひだり)にしるす
◯乳母 熱(ねつ)を食(しよく)すれば乳汁 熱(ねつ)す寒(かん)を食(しよく)すれは乳汁 寒(かん)