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【右頁】
◯乳母(めのと)或は悲(かな)しみ喜(よろこび)いまだ定(さたま)らずして乳をのまし
むれば涎(よだれ)を生し 咳嗽(しはぶき)をなす也
◯乳母 房事(ばうじ)をなして乳を飲しむれば児(ちご)をして
痩憔(やせかじけ)て脚(あし)弱(よはく)く【くの重複ヵ】行事 遅(おそ)からしむる也
右は乳母の身のつゝしむ所の事なり此いましめをおか
す事となかれ以上の説(せつ)聖濟経(せいざいきやう)に載(のせ)たり
◯小児 大(おほ)ひに笑(わら)ひて即時(そくじ)に乳をのめは驚風(きやうふう)癲癇(てんかん)の
病(やまひ)を生(しやう)ず大きに哭(なき)て乳をのめば吐瀉(としや)をなす大に飢(うへ)て
乳をのめは腹痛(ふくつう)をなす大に飽(あき)て乳をのめは氣(き)とぼ
しき事をなす大に驚(おどろき)て乳をのめは吐逆(ときやく)腹痛(ふくつう)をな
す啼事(なくこと)いまだ定らずして即時(そくし)に乳をのめは児(ちご)をし
【左頁】
て癭瘤(こぶ)を生するなり右は小児の身(み)の上(うへ)のつつしむ
所の教(をしへ)なり以上の説(せつ)古今(こゝん)醫統幼科準縄(いとうようくはじゆんぜう)等に見えたり
◯千金方に乳母児子を抱(いだき)て臥(ふす)ときは己(おの)が臂(ひぢ)を枕(まくら)と
して児の頭(かしら)と乳(ち)の頭(かしら)とたいらかにして乳をのましめ
て寝(いね)さすべし小児 眠(ねふり)來(きた)り乳母(めのと)も眠(ねふり)来らばすなは
ちその乳をうばひ去(さる)べし眠(ねふる)時は小児もおぼえす乳(ち)を
飲過(のみすご)し乳母もあたへ過して哯吐(けんと)の病を生すと見え
たり哯吐(けんと)とは和俗(はぞく)のいふ乳をあます事也《割書:啓益|》おもふ
に乳母も小児も眠来る時乳をはなつ事をしらずして
乳房(ちぶさ)にて児(ちご)の口 鼻(はな)をおほひ児の息(いき)をとゞめて死(し)に
至(いたる)る類(たぐひ)多し乳母のつゝしむ所は小児を抱(いだ)きて臥(ふす)時に