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【右頁】
あり乳母によりて大ひに寝(ね)て児をして己(おの)が身にて
しき殺(ころ)す類(たぐひ)の事 多(おほ)したとひ殺(ころす)にいたらざれとも
手足(てあし)をしてかたわになさしむる事まゝおほき事也
能々心を付へき事なり
㊉乳母(めのと)の病(やまひ)によりて児子病を生(しやう)ずるの説(せつ)《割書:付たり|》
乳汁(にうじう)出(いで)ざる時用る薬剤(やくざい)の説
◯生(せい)々(〳〵)子(し)の説に乳母は常(つね)に飲食(いんしよく)を慎(つつし)むへし乳母の
飲食すなはち乳汁となる辛(からき)物 辣(たゝがらき)物 味(あぢわい)の厚(あつき)物 熱(ねつ)つ
よき物 肉食(にくしよく)油氣(あぶらけ)酒(さけ)の類(たぐひ)をいむべしこれを犯(おか)せば乳母
の脾胃(ひゐ)に熱生ず其 乳(ち)を飲(のめ)は児子(ちご)をして病を生し
頭(かしら)面(おもて)に瘡(かさ)を生ずるなりと見えたり和俗(わぞく)これを乳越(ちこし)
【左頁】
といふ也 惣(そう)じて乳母に熱あらばいづれの病にてもはやく
上手の醫師(いし)を頼(たのみ)【「み」の重複】て療治(りやうぢ)すべし乳母に飲しむる薬(やく)
剤(ざい)には甘草(かんざう)を少しく用て多(おほ)からしむる事なかれ甘草
をおほく入れは脾胃(ひゐ)の氣(き)塞(ふさが)りて乳汁(にうじう)に妨(さまたげ)ありと
古来(こらい)より 本邦(ほんほう)に云傳(いひつたふ)る事なり本草を考(かんが)ふに甘
草の乳汁に妨ありといふ事を載(のせ)ずしかれ共多くこゝろ
みてたがはす心得へき事なり
◯乳母(めのと)故(ゆへ)なきに乳(ち)出(いづ)る事すくなく漸(やう)〻(〳〵)にうすくなる事
あり乳母かならず此事をかくすものなり折ふしごとに
乳(ち)をしぼらせて見るべし乳(ち)うすくして出(いで)かぬる時は
はやく驚(おどろき)【「き」の重複】上手の醫師(いし)を頼(たのみ)て薬(くすり)を用べし和俗(わぞく)は乳