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【右頁】
千金論に見えたり
◯王隠君(わうゐんくん)の説に小児(せうに)に着せしむる衣類(いるい)冬の時にても火に
てあぶるべからす熱(ねつ)つよくして皮膚(ひふ)をやぶるといえり衣(ころも)を
かへんとせはあらかじめ小児の衣類をして人の膚(はだへ)につけて温(あたゝ)め
をき着せしむべし夏の時とても衣を冷(ひや)して着すべからすいはんや
冬の時 冷(ひや)したる衣類を着せしむる事なかれ能々心を付べき事也
◯千金論(せんきんろん)に小児時あつて怒啼(いかりなく)事しきりならばかなら
す衣の中に針(はり)ありとさとりて衣をあらたむへしと
見えたり日本にてもまゝ多き事なり或は衣類に半風(しらみ)
生じ或は蟻(あり)のたぐひのさす虫の衣のうちに入たる時も
怒啼(いかりなく)事 多(おほ)しとにかくケ様の時は衣を改(あらため)め【活用語尾の重複】て着せかへ
【左頁】
させてよきなり
◯小児の衣類日に曬(さら)して日のある内に取納(とりおさ)むべし
夜露にあたらしむる事なかれよつゆにあたりたる衣類
を着せしむれはその湿(しつ)にあたりて病を生する也 玄中(げんちう)
記といふ書には姑獲鳥(こくはくてう)といふ鳥あり毛をきては飛(ひ)
鳥(てう)となり毛を脱(ぬぎ)ては女人となる胸の前に両の乳有
此鳥は懐妊(くはいにん)の婦人(ふじん)産(さん)する事をえすして死する者化
して此鳥となる此もの人の子をとりて養(やしな)ひて己(おのれ)が
子とす小児のある家に夜に入て衣を曬(さらす)へからす此鳥
夜あそひて小児の衣に血(ち)をしるしにつけてたゝり
をなすによりて此衣類を児子にきすれば驚風癲癇(??ふうてんかん)【注】
【注 ??部は「きやう」ヵ】