東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 35

ページ: 35

翻刻

【右頁】 千金論に見えたり ◯王隠君(わうゐんくん)の説に小児(せうに)に着せしむる衣類(いるい)冬の時にても火に てあぶるべからす熱(ねつ)つよくして皮膚(ひふ)をやぶるといえり衣(ころも)を かへんとせはあらかじめ小児の衣類をして人の膚(はだへ)につけて温(あたゝ)め をき着せしむべし夏の時とても衣を冷(ひや)して着すべからすいはんや 冬の時 冷(ひや)したる衣類を着せしむる事なかれ能々心を付べき事也 ◯千金論(せんきんろん)に小児時あつて怒啼(いかりなく)事しきりならばかなら す衣の中に針(はり)ありとさとりて衣をあらたむへしと 見えたり日本にてもまゝ多き事なり或は衣類に半風(しらみ) 生じ或は蟻(あり)のたぐひのさす虫の衣のうちに入たる時も 怒啼(いかりなく)事 多(おほ)しとにかくケ様の時は衣を改(あらため)め【活用語尾の重複】て着せかへ 【左頁】 させてよきなり ◯小児の衣類日に曬(さら)して日のある内に取納(とりおさ)むべし 夜露にあたらしむる事なかれよつゆにあたりたる衣類 を着せしむれはその湿(しつ)にあたりて病を生する也 玄中(げんちう) 記といふ書には姑獲鳥(こくはくてう)といふ鳥あり毛をきては飛(ひ) 鳥(てう)となり毛を脱(ぬぎ)ては女人となる胸の前に両の乳有 此鳥は懐妊(くはいにん)の婦人(ふじん)産(さん)する事をえすして死する者化 して此鳥となる此もの人の子をとりて養(やしな)ひて己(おのれ)が 子とす小児のある家に夜に入て衣を曬(さらす)へからす此鳥 夜あそひて小児の衣に血(ち)をしるしにつけてたゝり をなすによりて此衣類を児子にきすれば驚風癲癇(??ふうてんかん)【注】 【注 ??部は「きやう」ヵ】