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【右頁】
のやまひを生し又は疳氣(かんけ)の病を生ずこれを無辜疳(むこかん)
と名付と見えたり和俗此鳥をうぶめ鳥といふなり
十二【丸でかこむ】産衣(うぶきぬ)の説(せつ)《割書:付たり|》振袖(ふりそで)の説
◯日本のふうぞくにて子を出生すれは親族(しんぞく)又は隣家(りんか)或
はしたしき友どちの方よりその祝義として新(あら)たに
衣服(いふく)をこしらへ亀鶴松竹をそめ入或は金銀の箔(はく)をも
てちりばめて産衣(うふきぬ)と名づけて酒肴をとりそへて送
る事なり此事 古来(こらい)よりの俗禮(ぞくれい)なり《割書:啓益|》按(あん)ずるに
此うぶ衣(きぬ)を其まゝ生子に着せしむる事なかれ誕生日(たんじやうにち)
を過て後直に着せしむへし其内は上(うへ)に打かけて着
せ初(そむ)べきなり聖恵論(せいけいろん)といふ書(ふみ)にも小児は 𤍽(ねつ)つよけれは
【左頁】
一朞(いつき)を過(すき)て後(のち)新(あらた)なる衣類綿(いるいわた)を着(き)せしむべしと見えたり
一朞(いつき)とは去年(こぞ)生(むま)れたる月日(つきひ)より今年(ことし)に相(あひ)あたる月(つき)日
をいふ和俗のいふ所の誕生日(たんじやうにち)なり
◯小笠原家諸礼(おがさはらけしよれい)の書(しよ)に婦人(ふじん)懐妊(くわいにん)して五月めに帯(おび)
する礼(れい)ありこれをいはた帯(おび)といふ生絹(すゝしのきぬ)の長(なが)さ八尺ある
おびこれを四つにたゝみてその夫(おつと)女房(にうばう)の右(みぎ)の袖(そで)より
わたす女房(にうばう)請取(うけとり)てむすぶ也これは只(たゞ)当座(とうざ)の祝義(しうぎ)まで
にて別(べつ)のきぬにても木綿(もめん)にても帯(おび)する事也 扨(さて)此すゞ
しの帯は誕生(たんじやう)ありて後(のち)練(ねり)て肩(かた)にかにとりを付て
色(いろ)はうすあさぎたるべしおなじく裏(うら)にも此きぬを白(しろ)く
してつけて生子にきするなりこれは産衣(うぶぎぬ)にてはなし