東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 43

ページ: 43

翻刻

【右頁】 ◯巣元方(さうげんはう)の説(せつ)に初生(しよせい)の小児は皮膚(ひふ)いまだ堅(かた)からず衣(ころも)を厚(あつ) く重(かさ)ねて温(あたゝ)むべからす温(あたゝむ)れば汗(あせ)出(いで)やすし汗(あせ)出れは皮膚(ひふ)弱(よは)く 成(なり)て風を引やすきなり常(つね)に衣(ころも)を薄(うすく)すべし背(せなか)を冷(ひや)す 事なかれ衣(ころも)を薄(うす)くする事は初秋(はつあき)よりならはしむべし漸(ぜん)〻(〳〵)に 寒(さふ)くなるによりて初秋(はつあき)より薄(うす)く仕馴(しなれ)て次第〳〵に厚(あつ)くして冬(ふゆ)にい たれは俄(にはか)に寒(さむ)きにいたらずして寒(かん)に馴(なれ)てよく堪(たゆ)るなりと いえり心得べき事なり ◯生(せい)〻(〳〵)子(し)の説(せつ)に児子(ちご)生(むま)れて三五日の間(あいだ)は帯(おび)紐(ひも)の類(たぐひ)を以 束(つか)ね縛(しば)りて臥(ふさ)しむへし頭(かしら)を竪(たて)にして抱(いだ)き出る事なか れと見えたり《割書:啓益|》おもふに初生(しよせい)の児子(ちご)を絹(きぬ)にまきて帯紐(おひひも) にて束(つか)ねしばりて置(をく)事は胎内(たいない)にある時母のいはた帯(おび)に 【左頁】 てしめくゝりてある事なれば生出てもその事にならはし めてくゝりて置(おく)く【送り仮名の重複】べきなり乳母(めのと)にても又は年老(としおひ)たる女にて も児子を横(よこ)さまに抱(いだ)かせ足(あし)をゆたかに頭(かしら)の方(かた)を少(すこ)し高(たか)く して懐(ふところ)のうちに臥(ふさ)しむへし十餘(じうよ)ケ(か)日を経(へ)て後(のち)には床(とこ)に 臥(ふさ)しめてよきなり床(とこ)に臥(ふさ)しむる時は木綿(もめん)の蒲團(ふとん)をし きて頭(かしら)のかたを少し高く枕(まくら)かげんをよくして屏風(べうぶ) をひきまはし枕(まくら)もとより風(かぜ)のいらざるやうにしつらひ夜(よ)る は燈火(ともしび)をてらして臥(ふさ)しむへし衣類(いるい)も寒(かん)𤍽(ねつ)の時にした かひあつさうすさをはかりてきせしむべきなり児子(ちご)の顔(かほ) に衣類(いるい)を覆(おほ)ふべからず富貴(ふうき)の家(いへ)とても純帳緬帳(どんちやうめんちやう)など をたれてそのなかに臥(ふさ)しむべからす夏(なつ)は昼(ひる)も蚊帳(かちやう)を釣(つり)て