東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 44

ページ: 44

翻刻

【右頁】 蝿(はい)におかされぬやうにすべし乳母(めのと)は平生(へいせい)脇(わき)に添臥(そひぶし)して あるべし児(ちご)をたゞひとり臥(ふさ)しむる事なかれ乳母(めのと)は寝(ね)ても さめても児の事のみをおもひおもふてその半に心をゆだ ねとゝむべきなり ◯保嬰論(ほうゑいろん)に小児の安(やす)からん事をおもはゞ三分(さんぶん)の飢(うへ)と寒(かん)と を帯(おぶ)べしと見えたり徐春甫(じよしゆんほ)の説(せつ)には三分(さんぶん)の飢(うへ)と一分の寒(かん) とをもとむべしと云(い)へり三分のうへ一分の寒とは十(とを)の物にし て三つほとは食(しよく)をひかへ十の内にしてひとつほとは衣類(いるい)を うすくせよとの事なり ◯巣元方(さうげんはう)の説(せつ)に天氣(てんき)和暖(くはだん)なる時分(じぶん)は乳母(めのと)児(ちこ)を抱(いだ)きて 風(かぜ)にふかせ日にあたらしむべし小児 其手(そのて)を動(うごか)し物を見し 【左頁】 る時は日のあたる所にて遊(あそ)び戯(たはふ)れさすべしかくのごとく すれば氣血(きけつ)つよく肌(はだへ)も肉(にく)も硬(かた)くきびしくなりて風を ひかず寒(かん)にあたる事なしといへり富貴(ふうき)の家(いへ)その児(ちご)を愛(あい) し過(すご)し純帳緬帳(どんちやうめんちやう)のうちに衣服(いふく)をあつくかさねて風の 氣(け)日(ひ)の目(め)にもあはせぬやうにそだてたる児(ちこ)はその色(いろ)も黄(き) ばみしらけ皮膚(ひふ)もうすくして風をひきやすしたとへは 日陰(ひかげ)に生(おひ)たる草(くさ)のごとく軟(やわらか)に弱(よはく)して風の氣(け)日(ひ)のめ などにあへばもろくしほれやすきがごときをしるべし ◯萬全論(まんぜんろん)に田舎(いなか)のいやしき人の小児をそだつるに病(やまひ)と いふ事なしこれをたとふるに深山(みやま)或(あるひ)は廣(ひろ)き野原(のばら)に生(おひ) たる木(き)はたやすく合抱(だきまはす)ほどの大木(たいぼく)となり或(あるひ)は珍(めづら)ら【送り仮名の重複】しき果(このみ)【「くだもの」左ルビ】