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【右頁】
乳(ち)よりも多(おほ)くあたへなどすれは児子(ちご)は脾胃(ひゐ)窄(すぼ)く脆(もろ)き
故(ゆへ)にその穀氣(こくき)【注】にたえずして必 病者(ひやうじや)となるなり
いま貧家(ひんか)に乳母(めのと)をも召(めし)つかふ事かなはず實母(じつぼ)病者(ひやうじや)
にして乳(ち)すくなきものやむ事をえずして粥面(かゆのうはずみ)など
にてそだつる児(ちご)はかならず病者(ひやうじや)となるなりこれを以しるべ
きなり又 按(あん)ずるに世間(せけん)實母(じつほ)の乳にて子を育(そだつ)る人を見
るに必三年め四年めにその次(つぎ)〻(〳〵)の子を㜳妊(くはいにん)するなり㜳妊
して月のかさなるにしたがひ乳出る事なししかれば小児
に食(しよく)をあたへそむるは其 歯(は)のはへ出る時をまちて其後(そのご)
とさだめ乳を飲(のま)する事をやむる時は實母の㜳妊して
乳の出ぬ時をその期(ご)とすべき事也これ天理(てんり)の自然(しぜん)なる
【注 「穀氣」=水穀の精気。水穀の気ともいう。脾により飲食物から運化された栄養物質】
【左頁】
べきなり
◯小笠原家諸礼(おかさわらけしよれい)の書(しよ)に小児生れて百二十日めに相 当(あた)
る日は善悪(ぜんあく)をえらはず喰初(くひそめ)あるべきなり食(しよく)を喰(くい)初さ
する事男子ならは男の役(やく)女子(によし)は女の役(やく)なりいづれも一族(いちぞく)
の中にて子孫繁栄(しそんはんゑい)の人をえらぶへしと見えたり其
作法(さはう)膳部(ぜんぶ)等(とう)故実(こじつ)次第ある事なりこゝに畧(りやく)す
㊄小児(せうに)の脉(みやく)の説
◯生(せい)〻(〳〵)子(し)の説に生子百日の後 周歳(しうさい)《割書:誕生日(たんぜうにち)を|いふなり》の比までは
その顖門(しんもん)を觀(み)て其 病(やまひ)をしり其 吉凶(きつきやう)を定(さだむ)へしと云へり
顖門とは和訓(わくん)おどりとよみて児の頭(かしら)の真中(まんなか)に縫合(ぬひあはせ)の
ごとく溝(みぞ)たちて動(うご)きおどる所をいふなり人のかたちは父(ふ)