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【右頁】
としるへしと見えたり
㊅非常(ひじやう)の生子(むまれご)の説(せつ)
◯《割書:啓益|》按(あん)ずるにいにしへ天地(てんち)の開初(ひらけはじめ)し時は其(その)氣候(きこう)もする
どにして其 氣(き)をうけたる人なれば其かたちもあやしく
すさまじく夜叉(やしや)のごとき類おほかりけるにや中花(もろこし)の神農(しんのう)
氏(し)は牛首人面(ぎうしゆにんめん)とて頭(かしら)に角(つの)のありけるとかやわが日本
にても猿田彦(さるだひこ)の神などゝいひけるも鼻高(はなたか)くあやしき
顔(かほ)なりけるとぞ傳(つた)へ侍(はべ)る老子(らうし)は母(はゝ)の胎内(たいない)に在(あり)ける事八十
一 歳(さい)にして白髪(しらが)にて生れ給ふよし馬呈徳(ばていとく)が子も母の
胎(たい)にある事八歳にして生れたりたゞ髪(かみ)の長(ながき)事 尺餘(しやくよ)生
てよく物云たると五雜俎(ござつそ)に見えたり 本邦(ほんほう)反正天皇(はんしやうてんわう)は
【左頁】
生れ給(たま)ひたる時 骨(ほね)のごとくなる歯(は)三つはへ給へは三歯(みつば)
別(わけ)の尊(みこと)と申奉る清寧天皇(せいねいてんわう)は生れ給ひて御 髪(かみ)白く
長(なが)かりければ白髪(しらが)の皇子(わうじ)と申奉る武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)は生れ
落(おち)て物をいひはいありき歯(は)生(おひ)たりと申傳へ侍る此等(これら)の
類今の世にもまゝ多き事なりしかれ共 鬼子(おにご)といひて
ひねり殺(ころ)し水に流(なが)す者あり是 道理(だうり)にくらき故なり
天地造化(てんちざうくは)の変(へん)なればケ(か)様(やう)なる事いくらもあるべき事と
心得て育(そだて)をくべきなり此子 長生(ちやうせい)の後いかやうなる名(めい)
人(じん)にか成ぬべきはかりがたし又七ヶ月八ヶ月にて生れ
其形もはなはだ弱(よは)くちいさくてそたつべき共見えぬ
生れ子を月たらずの児子(ちご)とて殺(ころ)す類多し魏畧(きりやく)に