東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 64

ページ: 64

翻刻

【右丁】 吐乳(とにう)するには二陳湯に黄連(わうれん)連翹(れんぎやう)を加(くは)へて用べし総じ て小児の病ありて薬(くすり)を用るにはいづれの方にも連翹(れんぎやう) 山(さん) 査子(ざし)を少加へて用る事 大秘密(だいひみつ)の妙(めう)なりその理(り)いたつ てふかししるしが多し口伝(くでん)心授(しんじゆ)すべき事なり《割書:予》が門(もん)に あそぶものならでは伝(つた)えがたし ○小児生れて六七日の後 陰嚢(いんのう)しゞまりて腹(はら)のうちにおさ まり入る者ありこれは寒冷(かんれい)の気にあたりてかくのごとし熱(ねつ) 湯(とう)に手巾(てぬぐひ)をひたして腹(はら)と陰嚢(いんのう)とをしきりに温(あたゝ)むべし かくのごとくすれは愈(いゆ)るなりと王隠君(わういんくん)の説に見えたり 此 症(せう)には五香湯(ごかうたう)よろし藿香(くはつかう) 木香(もつかう) 沈香(ぢんかう) 丁香(ちやうかう) 白芷(びやくし) 香(かう) 右 等分(とうぶん)にして用べし寒(かん)つよくは肉桂(につけい)を加えて白芷を 【左丁】 去たるがよきなり ○小児生れて一両月の内に臍(ほぞ)突出(わきいて)【ママ】て腫(はれ)其 色(いろ)赤(あか)く 痛(いた)む病あり臍突(さいとつ)といふなり庸医(ようい)《割書:下手(へた)医師(いし)|をいふなり》は大切(たいせつ)な る事といふをしらずたゞ臍風(さいふう)などゝいひて臍帯(ほそのを)のた ちめより風などの入たるごとくおもひて軽々(かろ〴〵)しく心得 治(ぢ) をあやまる事多しと生々子(せい〳〵し)の説に見えたり早(はや)く驚(おどろ) き上手の医師(いし)をたのみて療治(りやうぢ)すべきなり此 症(せう)を治(ぢ) するには赤小豆(しやくせうづ) 豆鼓(づし) 天南星(てんなんせう) 白斂(びやくれん)《割書:各一|匁》右 細末(さいまつ)し て毎(つね)に五分を用て芭蕉(ばせう)の葉茎(はくき)をすり砕(くだ)きて其 汁(しる) をとりて此 粉薬(こぐすり)をねりて臍(ほぞ)の四方(しはう)につくる事一日に 一両度すれは小便に白き物を通して平愈(へいゆ)するなり