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【右丁】
《割書:啓益》つねにこゝろみて験(しるし)をとる事 多(おほ)し又 小児(ちご)により
て此 症(せう)とはちがひて五六歳までも臍(ほぞ)の突出(つきいて)たる者
ありこれは其色もつく事なく痛(いたみ)もなくたゞ臍(ほぞ)の出た
る計(ばかり)にて何の煩(わづらい)もなき者なり療治(りやうぢ)する事なかれ
七八歳にいたれば多くはひとりへりて常(つね)のごとくなる
なり見 苦(ぐるし)くおもひてはやくへらさんとおもはゞ夏(なつ)の時
にその児(ちご)袒(はだか)になりて遊(あそ)ぶ時おもひがけなきによくねら
ひて杖(つへ)のさきを円(まどか)か【衍ヵ】にしてきぬにてよくつゝみてその
杖のさきにて臍突(さいとつ)のうへをつく時はかならず一両月の
うちにその臍突へるものなり是また築紫(つくし)の方(かた)の
野人(やじん)の一術(いちじゆつ)なり小児のおもひがけなき時をつくによ
【左丁】
りて築紫(つくし)の方にては此事を瞽者(めくら)にさする事なり
瞽者(めくら)はつくべきとも小児おもはぬ所をつく故(ゆへ)なるべし
○臍風(さいふう)の症(せう)は臍帯(ほそのお)を断(たち)たるその断 目(め)より水湿(すいしつ)の気(き)
入又は風邪(ふうじや)いりて臍(ほそ)腫(はれ)腹(はら)脹(はり)口 撮(つま)みて啼(なく)事多く乳(ち)
を飲(のむ)事あたはざるなり防風散(ばうふうさん)を用たるがよきなり防(ぼう)
風(ふう) 羌活(きやうくはつ) 白芷(びやくし) 当帰(とうき) 黄茋(わうぎ) 甘草(かんざう) 《割書:各等|分》右 細末(さいまつ)し
て少許(すこしばかり)づゝ灯心の煎湯(せんとう)にて用べきなりこれを防風(はうふう)
散(さん)と名付(なづく)るなり臍風(さいふう)の病 経絡(けいらく)に入れは多くは変じて
癇症(かんせう)となる又 臍(ほそ)の辺(へん)青黒(あをくろく)して口 撮(つま)みて開(ひら)かざる
を臍風(さいふう)撮口(さつこう)といひて治(ぢ)しがたし爪甲(つめのかう)黒(くろき)者は死症(しせう)と
しるへきなり