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【右丁】
すれば必 啼(なき)やむなり昔(むかし)平(たいら)の忠盛(たゞもり)朝臣(あそん)白河院(しらかはいん)より祇(ぎ)
遠(おん)女御(によご)といふ女房(にうぼう)を給(たま)り【ママ】て生(うみ)たる子 夜啼(よなき)する事しき
りなるよしを白河院 聞召(きこしめし)て御製(ぎよせい)に
夜なきすとたゝもりたてよ末の世に
きよくさかふる事もこそあれ
とあそはして給りけれはその児(ちご)啼(なき)やみけりとなり
それゆへ此子を清盛(きよもり)と名付(なづけ)けるとぞいまも此 哥(うた)を
枕上(まくらかみ)の壁(かべ)にのりづけにすれば夜啼をやむるなりそ
の外 種々(しゆゞ)の呪法(まじなひ)あり外よりなす事なれは害(がい)のな
き事なればいかやうなる事をもなすへし
○初生(しよせい)の小児(ちご)大小 便通(べんつう)せず腹(はら)脹満(ちやうまん)して死するに至(いた)る
【左丁】
ものあり婦人(ふじん)をして熱湯(あつゆ)にて口漱(うかひ)をさせて生子の
胸(むね)の真中(まんなか)背(せなか)の真中(まんなか)臍(ほぞ)の下 手心(てのはら)足心(あしのはら)右の七所を其 色(いろ)
紅(くれなひ)になるほど吸(すひ)温(あたゝむ)ればすなはち大小便 通(つう)じて腹(はら)の脹(はり)よく
なるなりと王隠君(わうゐんくん)の説に見えたり《割書:啓益》此事をたび
〳〵こゝろみて験(しるし)を取たる事なり
○小児は大小便つねによく通(つう)ずる時は病(やまひ)なしと嬰幼論(ゑいようろん)
に見えたり小児の腹(はら)の間はいたつて短(みしか)き故(ゆへ)乳(ち)にてもふ
さがり安(やす)しまいて食(しよく)は滞(とゞこほり)安きなり大小便に化(くは)する
時はめぐりて病なし大小便 通(つう)じかぬる時は病としり
て療治(りやうぢ)をなすべきなり
○初生の小児五六日にいたりて大小便通せさる事あり