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【右丁】
たり万病(まんびやう)回春(くはいしゆん)には此丸薬を金銀湯(きん〴〵たう)にて用るとあり
其外の書にも此等(これら)の薬(くすり)を金銀湯にて用るとある事
はあやまりなり金銀(きん〴〵)薄荷湯(はつかたう)の事なり河澄(かちやう)の説(せつ)
に金銀薄荷とは即(すなわち)金銭薄荷(きんせんはつか)是也今 家園(かゑん)の
薄荷の葉(は)円(まろく)して小(ちいさき)もの其 形(かたち)金銀 銭(せん)に似(に)たるの
義なりと侍れはみな薄荷の煎湯(せんたう)にて用る事な
り此事をしらぬ人は金銀をせんじたる汁(しる)にて用るあ
り此説 除春甫(しよしゆんほ)【徐とあるところ】の古今医統(ここんいとう)につまびらかなり能々心
得へき事なり
○急驚風(きうきやうふう)愈(いへ)て後 調理(てうり)には六君子湯(りつくんしたう) 人参(にんじん) 白朮(ひやくじゆつ)
白茯苓(びやくふくりやう) 陳皮(ちんひ) 半夏(はんげ) 《割書:各等|分》 甘草(かんざう) 《割書:少(すこし)許》 これを六君(りつくん)
【左丁】
子湯(したう)といふなり此人参には朝鮮(てうせん)人参ならは三厘(さんりん)加べし
朝鮮 鬚(ひげ)人参ならば五厘(ごりん)ほど加ふべし生姜(しやうが)棗(なつめ)をいれて
煎(せん)じ用べし近来(きんらい)京都(きやうと)の医者(いしや)いつの比よりやらん薬に
棗(なつめ)を入る事をせずそれゆへ今時の医師の薬の書付
に棗をいるゝといふ事をせず病家(びやうか)にも棗をいるゝ事を
しらず習(なら)つてさつせざる故に甚(はなはだ)しきものは棗をいる
る事は当世には嫌(きら)ふなどいひていれさせぬ医もあり
これ薬に棗をいるゝの理(ことわり)をしらぬ故なり生姜(しやうが)は味(あぢはひ)辛(から)く
して発散(はつさん)し諸(もろ〳〵)の薬毒(やくどく)を解(げ)し水毒(すいとく)を解(げ)する以多
くは生姜のいらぬ薬とてもなきなり棗は味(あぢはひ)甘(あまく)して
脾胃(ひゐ)を補(おぎな)ひ百薬(ひやくやく)を調和(てうくは)するの功能(こうのう)ありこゝを以 生姜(しやうが)