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【右丁】
あなたこなた赤く腫(はれ)て所をさだめず其熱 焼(やく)がごとく
其 痛(いたみ)甚(はなはだ)しこれ熱毒(ねつとく)なりと云へり和俗(はぞく)【注】これをあかく
さといひはしりぐさといふ葱(ひともじ)をすり爛(たゞらか)して付れは
いゆるなり又 赤小豆(しやくせうづ)の粉(こ)を雞子清(けいしせい)《割書:にはとりのたまごの|しろみをいふ也》にて
ときて付てよし浄腑湯(しやうふたう)を用てよし此病のきざし
あらば早く驚(おどろ)き上手の医師(いし)に頼(たのみ)て療治(りやうぢ)すへし此病も
し腹(はら)にせめ入て腹(はら)脹(はり)陰嚢(ふぐり)にせめ入て傷(やぶ)るゝがことくな
る者は必 死(し)するなり犀角(さいかく)消毒(せうどく)飲(いん)を用へし 荊芥穂(けいかいすい)
防風(ばうふう) 黄芩(わうこん) 牛房子(ごぼうし) 《割書:各等|分》 犀角(さいかく) 甘草(かんざう) 《割書:各半|分》
右 剤(ざい)として水煎(すいせん)し服(ふく)してよきなり《割書:犀角なきときは升麻(しやうま)|を代(かへ)用てよし》
○小児は熱毒(ねつどく)さかんなるを以 疥癬(かいせん)の類の瘡(かさ)を生ずる事
【注 本来は「わぞく」とあるところを「は(ハ)ぞく」とあり。82コマ23行目にも「は(ハ)ぞく」とあり、「わ」の誤としたきところだが判断に苦しむ。】
【左丁】
多し和俗ひぜんかさといふ升麻(しやうま)葛根湯(かつこんたう)に加減(かげん)して
用べし 升麻(しやうま) 葛根(かつこん) 白芍薬(びやくしやくやく) 《割書:各等|分》 甘草(かんさう) 《割書:少(すこし)許》
右剤として水煎(すいせん)し服(ふく)してよし連翹(れんぎやう) 黄芩(わうこん) 山梔(さんし)
子(し)荊芥(けいかい)を加(くはへ)て用たるがよきなり総(そう)じて小児の胎毒(たいどく)
の類 疥癬(かいせん)の類外よりつけ薬(くすり)又はすり薬などゝいふ
ものを以 愈(いや)す事なかれ必その瘡毒(さうどく)内に入て臓腑(ざうふ)を
せめて息(いき)だはしく成て呼吸(こきう)せまりて死(し)するなり或は遍身(へんしん)
浮腫(ふしゆ)【左ルビ:うそばれ】して大事(だいじ)の病となるなり
○嬰幼論(ゑいようろん)に亀胸亀背(ききようきはい)の症(しやう)はその病根(びやうこん)おなじ亀背(きはい)は
亀(かめ)の背(せなか)のごとく腰(こし)より上かゞまり頸(くび)すはりて短(みじか)く亀(かめ)
のごとくあるをいふ亀胸(ききよう)も又 胸(むね)しきりに高(たか)くさし出て