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【右丁】
なくて遺尿(いねう)するあり乳母(めのと)心を付てそのおりふしを見
合(あわせ)てひたとつげて小便(せうべん)をなさしむべし児(ちご)物の心を
しるにしたかひその時〳〵をつぐるものなりかくのごとく
せざる児(ちご)は一二歳の時の事くせと成て六七歳まで
も床(とこ)をけがすものあり又病によりて遺尿(いねう)する
ものあり雞腸散(けいちやうさん)を用たるがよきなり
雞腸(けいちやう)《割書:按するに雞(にはとり)の腸(わた)なり|くろやきにして》 牡蛎(ぼれい) 白茯苓(びやくぶくりやう) 肉桂(にくけい)
桑螵蛸(そうへうせう)《割書:和語おゝぢの|ふぐりといふ》 竜骨(りやうこつ) 《割書:各等|分》 右 細末(さいまつ)してさゆにて
少許(すこしばかり)用たるよし又十一の椎(ずい)又十四の椎(ずい)腰眼(ようがん)《割書:和俗のいふ|いのめなり》
の穴(けつ)を灸(きう)して其 験(しるし)多し六味丸八味丸の類を用
て愈(いゆる)もあるなり
【左丁】
○王隠君(わうゐんくん)の説に初生の小児 陰嚢(いんのう)【左ルビ:ふぐり】偏腫(かた〳〵はれ)て大なる者
あり痛(いたみ)なき時は治(ぢ)すへからずをのつから愈(いゆ)るものなり
と見えたり今時もまゝ多き事なり療治(りやうぢ)すべからず
○王隠君の説に小児(せうに)歩行(ほかう)する事おそく髪(かみ)はゆる
事をそきは共(とも)に気血(きけつ)の不 足(そく)してみたざる故(ゆへ)也と
云へり六味丸に牛膝(ごしつ)木瓜(もくくは)薏苡仁(よくいにん)五加皮(ごかひ)を加へて
用てよし
○王隠君の説に小児 語(かたる)事をそきは心気(しんき)弱(よは)き故也
と云へり菖蒲丸(しやうふぐわん)によろし 石菖蒲(せきしやうふ) 人参(にんじん)
川芎(せんきう) 当皈(たうき) 乳香(にうかう) 硃砂(しゆしや) 遠志(おんじ)
右細末して黍粒(きびつぶ)の大に丸(ぐわん)じて十丸つゝさゆにて用てよし